『笑う警官』を読んだときは衝撃だった。
スウェーデンの警察小説、これを映画化したウォルター=マッソー主演の『マシンガン・パニック』のあとに『唾棄すべき男』が本国で映画化されたのがこれだった。
徹底したリアリズム、大げさな音楽もなく、主役のマルティンベックも犯人逮捕に向かってすぐにやられてしまう。
この、ハリウッドでは考えられない展開に衝撃を受けた。
軍隊があり、徴兵制があり、拷問術も会得している警官がいて武器を扱える市民がいる社会。
原作者はその歪みを、暗部を告発している。
また、それに答える監督らも凄い。
本物の警察署へ行って、本物のジャンキーやギャングを配役したり、豚の血を大量に使ったり、墜落するヘリを実物で再現したり、それを撮影したり……。
刑事長のマルティンベックのみならず、チームを描き、カタルシスもないので後味は良くないが、印象に残る。
この渋さはたまらない。傑作だ。