Melko

ミルク・マネーのMelkoのレビュー・感想・評価

ミルク・マネー(1994年製作の映画)
3.8
「初めてだと少し痛むかもしれない」
「わたしの本当の名前は……胸が痛むわ。」
「女が触れられると嬉しいところは、、」

おバカコメディかと思いきや、思いがけず泣いてしまった。
生まれたと同時に母親を亡くしたフランク。思春期に差し掛かる少年は、女性と性に対して興味深々。女の人の裸ってどうなってるんだろう?それを確かめるために、貯めたお小遣いを握りしめ、親友2人と街へ。
「100ドルで裸見せてくれませんか?」街ゆく女性にお金見せながら話しかけ、ほっぺた引っ叩かれながらも諦めない。大金見せびらかしたせいで悪い大人にお金を奪い取られそうになったところを、Vと名乗る謎の娼婦に助けられ…。

女性の「性」に惹かれるお年頃。Vにも、性的な意味で近づいたフランクと親友だが、フランクは徐々にVに対して、今まで感じることができなかった「母性」を求め、親友2人もなんだかんだいい奴ら、Vとフランクの様々なトラブルを手助けする。

男手ひとつでフランクを育てた父親トム。
トムを演じたエドハリスがまさかのピュアピュアおじさんで、めっちゃ良きだった。泥まみれになりながら湿地の保護に勤しむ役。Vの職業を「数学教師」と勘違いし、Vと繰り広げるすれ違い会話劇は、さながらアンジャッシュのコント。笑
「僕にはグレースケリーに似て見える」って、あの瞳に言われたいかも…
父性と母性はやはり相容れないもので、フランクが母性とゆうものに焦がれてしまうのもわかる。
メラニーグリフィス演じるスタイル抜群の娼婦Vが、最高にマブイ女性!!道ゆく人がみんな振り返るのもわかる。お胸がこぼれそうです。
最初こそよくタバコを吸うものの、家の中ではタバコ禁止のルールを守ったりフランクにダンスを教えたり、果ては体を張った性の授業まで(脱ぐわけではないので、お子様でも安心して見れます)。
男子が歓声を上げる中、女子が必死にメモ取るのが笑える笑
完全に擦れてる性悪娼婦ではなく、心根の優しくピュアな女性なのがとても好感が持てる。笑ったり怒ったり泣いたり感情も豊かで、完璧にトムに恋した状態で、己の境遇ゆえにトムの元を去る覚悟をし、流す涙がとても切ない。
頑なに本名を明かさない彼女が、トムと愛し合う場面で本名を口にし涙を流す場面は、どんな職業の女性も同じように幸せになりたい、人から愛されたいと望んでいるのだと見せられてるようで、涙がこぼれた。

無邪気でどこか抜けてる天然のフランクと、負けず劣らず抜けてるトム親子、どちらに焦点を置いた話なのか、話のバランスは良くはないし、裏社会からの抜け方もそんなに簡単にいかないだろ、とか、色々ガバガバではあるけど、
あぁ、人を愛するって素敵だね
ってシンプルなメッセージが刺さるようで、たまにはこうゆうのも良いなと。

あとU2をはじめとして、さわやかなBGMが全部いい感じ。
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