ひでやん

フラガールのひでやんのレビュー・感想・評価

フラガール(2006年製作の映画)
4.8
3回目の鑑賞。

福島県の炭鉱町を舞台に、レジャー施設の誕生に向けて奔走する人々を描く。

昭和40年、エネルギーが石炭から石油へと代わる時代が押し寄せ、危機に陥った炭鉱町は、町興しとしてレジャー施設を作る事を決意。

寒い東北の地に常夏の楽園を作り、フラダンスをする。素晴らしい発想だ。つらい時こそ娯楽は必要。

東京から来たダンスの先生と、募集で集まったダンサーたち。

ずぶの素人4人から始まったダンサーたちは練習を重ね、足のステップや腰の振り、しなやかな手の動きを覚えていく。

波や風や月を表現した手の動きが美しく、手話の要素が含まれるフラダンスに魅了された。

蒼井優やしずちゃん、早苗役の徳永えりの演技や訛りがとても自然で、演じているというより、そこにいる村の女という感じだった。

松雪泰子扮するダンスの先生は、気取った高飛車な女から優しい人へと変わり、ダンサーに対して愛情があった。

先生とダンサーたちの変化に感動があり、みんな弱くて涙もろくて優しくて、そして強い女たちだった。

レジャー施設を反対する人と協力する人、ダンスを反対する親、それぞれが本気で心をぶつけ合い、そこに悪人は誰もいない。

早苗との別れの場面や電車の窓からホームを見る場面は涙腺が弛み、うるっときた。そして母がストーブを借りる場面で涙腺が完全崩壊して号泣。富司純子は寺島しのぶと尾上菊五郎のお母さんだって事を最近まで知らなかったんですが、彼女の演技に毎回泣かされてしまう。

そっだら事されると泣いてしまうべさ。3回観て3回泣いたっぺ。

母が初めて見た娘の美しい踊り。それはかつて窓から眺めた先生の踊り。髪飾りを付けて早苗と一緒に踊るようにステージの上を舞う姿は感動的で、ラストは圧巻のフラダンスだった。

どんなにつらくても悲しくても踊っぺ。つらくても笑うべさ。

そんな彼女たちの笑顔は暗闇を照らす太陽だった。
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