パピヨン

息子のパピヨンのレビュー・感想・評価

息子(1991年製作の映画)
4.0
自分は山田洋次監督の作品の中で、「幸福の黄色いハンカチ」や、「遥かなる山の呼び声」より、本作品や「学校シリーズ」が好きです。そして監督の描く世界観も、30年程前までは、観客のそれと余り距離が無かったように感じます。
三國連太郎演じる父親の心が、一見出来の良い長男一家より、心配ばかり掛ける次男に傾いている様が、手に取るように伝わる後半がたまりません。あれ程頼り無かった息子が、恋をした障害を持つ彼女のために手話を覚え、長続きしなかった仕事も定まる。そして、「彼女が居ないと俺は生きて行けない、彼女も俺を頼りにしてくれている」。「いくら反対されても俺は結婚する」と、そこで父親は「彼女をもし傷付けたら、俺はあちらの親御さんの前で腹を切らねばならない」と。この障害を持つ彼女が、素直になれなかった父と息子を一つにした瞬間だ。この先をもう少し見守りたい気持ちで一杯になるが、ストンと終らせ観客に委ねたところも正解だったと思います。
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