一度観ると衝撃に揺さぶられ、二度観ると散りばめられた細かい伏線を感じていける作品。
迷っているならば観た方が良い。
遺される者たちへ投げかけられた
、女であり、母であった女性の強く深い愛のこれまで秘められていた物語。
そしてその業は深く、痛みさえ伴う母の過去を探していくミステリーでもある。
確かにレバノン出身の方の原作でさらに元々戯曲の一部であるから、テーマがかなり重かったり…映画の中にも突っ込みどころは正直ある。
ただそんな些末なことを気にするよりも
僕らではどうにも出来ない、中東で過去も今も起きている混沌。そしてその混沌が生む多くの殺戮と悲しみ。こうした世界に振り回されながらも、この母が信じ続けて伝えてくれた大きな愛
「憎しみの連鎖を断ち切るのは、ただ愛すること。」
を感じることが、この映画で大切なことなのではないか。
茫漠とした風景・レディへの音楽などが良い味を出していた。
この母が言うからこそ誰よりも重みのある
「共にいることが何よりも大切。」
という言葉を忘れずに、今僕らがそれなりに平和で、それぞれの大切な人と共にいられることに感謝する気持ちになれる一作。