このレビューはネタバレを含みます
労働者の15人のフランクにペッカを合わせたイカ墨同盟の面々が約束の地エイラを目指すも、その途上でバタバタ死ぬお話。上映されていたのは1917年「ペェター・セルギー」とのこと。
没個性的なフランクたちですが、その中で英語を喋るペッカはアメリカンな思想を表象しているのでしょうか。三々五々の旅の途上で死んでいくフランク。それぞれのあっさりした死に様は何となく示唆的だったり。
紆余曲折の末、2人のフランクがエイラに辿り着いたけれども時既に遅し。理想郷としてのエストニアに向けて旅立つも、夢叶わず撃沈したことを示唆するような効果音のラスト。
とにかく劇伴と諧謔のある撮影がとてもカッコよかったです。ダイアログに乗せた思想性にも押し付けがましさや小賢しさはなく、凝縮された短いドラマが淡々と進むようでした。死の捉え方も小気味良かったです。
淡白な表現ながら、それを感じさせない内容の濃さとテンポの良さで、社会の歪みが不条理に昇華されたような楽しさを味わわせてくれた名作でした。