カラマリ・ユニオンの作品情報・感想・評価

「カラマリ・ユニオン」に投稿された感想・評価

Sari

Sariの感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

アキ・カウリスマキ監督長編第二作。

15人の男たちは皆フランクという名前でサングラスをかけている。ここから既に面白い。
彼らはイカ墨同盟=<カラマリ・ユニオン>という名のメンバーだった。
パンクな奴もいれば、ダンディな男、詩人、労働者もいる。
貧困の街を捨て理想郷<エイラ>を求めてそれぞれのルートで旅立つものの、理想は遠く、銃弾に倒れる者、仲間を見捨てる者、自殺する者…。明らかなストーリーはなく断片的な逸話で進む中でひとりまたひとりと脱落してゆく、寓話的なノワール不条理劇。

ブロンドの美しい恋人を持つ一人のフランクが、彼女をエイラへと誘うがあまりの執拗さに銃で殺される展開や、あるフランクが美容室内に元カノらしき女性を見つけ話しかけるが、彼女を妊娠させ放置したことが分かると美容師と客の女性たち全員に取り抑えられ殺される展開は、自業自得ながら殺す瞬間を見せないのが非常に緩くて笑えた。

最後に残るのが、マッティ・ペロンパーともう一人のフランクたったの二人。海を渡るのに小舟でエイラに旅立っていく映像に、哀愁漂う音楽が流れるが最後に爆発のような音が鳴り終る。理想郷は理想でしかなく、幸せを求めた男たちの最期の儚さが胸に迫る。

若きアキ・カウリスマキ監督が、運転手役としてワンカットのみカメオ出演しているが、痩せて美形ながら、少し面影を感じさせた。

都会の夜の表情をあえてモノクロで表現した映像と、シーンごとに選曲された音楽が絶妙なセンスでマッチしており、情けないバンドが名曲「スタンド・バイ・ミー」を演奏するシーンも味わい深い。

ドストエフスキーの原作を翻案したシリアスな長編デビュー作『罪と罰』とは打って変わり、モノクロのスタイリッシュな映像とオフビートなムードを掛け合わせた作風で、初期ジャームッシュ作品とも近い趣き。
処女作のプレッシャーから解放され、リラックスしてやりたい事をやったのではないだろうか。

何度か見ると発見がありそうなジワる面白さがある作品。
15人のフランクを演じた役者は後のカウリスマキ作品でも常連となっており、レニングラード・カウボーイズの前身といった趣きである。

①2022/07/02 DVD
②2022/07/06
syazu

syazuの感想・評価

3.8
複数のフランクが一人一人消えていくのはわかるのだが、それ以外のストーリーはよくわからなかった。でも、なんか面白いと思わせてくれた不思議な作品。

かっこよさとダサさの融合がたまらない。
肇

肇の感想・評価

-
ワクチン3回目映画祭延長戦 上映作品⑤

おじさんたちの珍道中に人生の挫折とか苦難楽しさ全部が表れてる気がする。全員同じ名前だからこそ、集団の中で生きる各々の生き様の差異が際立つ。エイラという目標を各々目指しながらほとんどがばたばた殺されていくけれど、目に留められて金持ちの車に拾ってもらう者、ホテルのドアマンに身を落ち着ける者、行先は様々で、多くが挫折に終わるのに思わずどの人にも愛しさを感じてしまう。
もちろん、社会において見捨てられてきた層の生き様を告発する映画であることは言うまでもないと思う。もう4本も見れば、監督の関心がどこに向けられているかは明らかだ。同じ名前なのは彼らが個を尊重されずに一括りにされてきた的な経緯があるからなのかなあ。観ながら残機という概念が浮かんでた。
「街の反対側」であるはずの場所は、車を使えれば、ちょっとしたお金があれば、おそらくすぐに辿り着ける場所だと思う。でもフランク達は色んな障害に妨げられながらじりじり進んでいく。スーパーで万引きもするし野宿もする、バーで頼むのは酒じゃなくて水。彼らが死ぬ時はいきなり死ぬし、多くの死は仲間のフランクにすら顧みられない。ピストルがあればためらいなくこめかみにむけて引き金を引く。こういう人生の悲哀はけして軽いテーマではないのにこれだけ面白いコメディに纏められるのすごい。途中のロック激唱シーンとかバイク爆走シーンとか最高すぎ。感情を入れすぎない演技らしい演技とか、間のとり方のキレの良さも噛み合ってる。相変わらずテンポがめちゃめちゃにいい。ブレッソンの趣ある。
ネムル

ネムルの感想・評価

4.0
レニングラード・カウボーイズの原型のような、やはりへんな映画。
淡々と話が進み、何というわけもなくフランクがひとりひとりと去っていく、因果のくびきを離れたエクソダス。ぼけーと楽しく観る
回送

回送の感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

夜のライブステージにおいて「女を抱く!」と唱和していたフランク一同だが、ことごとく女を巡って死ぬか、あるいはフランクを見限って女を選ぶ。”フランク性”的なものを失ったフランクから、自壊するか消えるかしていく。利口にないし小ぎれいに生きようとすれば特に。その”フランク性”をサングラスに象徴させたのは、非常に素敵だと思った。
時代柄だと思うが、そんなにタバコ吸うかねとツッコミたくなるほど隙あらばタバコを吸う。タバコもまたフランクにとって重要なアイテムのようである。実際フランクの生きざま(?)も、どこかタバコの煙のようにしなやかで儚いものに思われる。
最後のシーンの「遅かったんだ 何年も」のようなセリフの意図、または相方を殴るのを思い留まって船に乗せた理由とかを、分かりきれないながらもアレコレと考えていたが、何にせよ良いラストと感じる。
この監督の映画を他に2作観たが、どれも音楽をとてもうまく劇中にブチ込んでくる印象がある。Stand by meが本当に良かった。

このレビューはネタバレを含みます

ンンンンンーーーー!好きです...
15人のフランクたちから構成される労働者同盟カラマリユニオンの面々が今いる最低な感じの街を脱出し、街の反対側にある理想郷のような街へ向かう過程が描かれています。
フランクたちの旅路は決して順調ではなく次々と理由が明かされないまま次々と脱落していくのですが、その様子がおかしみも交えた描かれ方で、おかしみとシビアさのシナジー効果すら感じました....なんだこれは!
中景に労働者階級から上流階級へのジャンプの厳しさということ、さらに遠景にユートピアを目指してもそれは存在しないこと の寓意をユーモアとかっこよさとシビアさを絶妙な具合で両立して描かれた物語というふうに感じました!
港で打ち上げられてしまった小魚のシーンで生存率が低い動物ほどより多数の子孫を産むことを思い出されたし、それがフランクたちに重なった
15人みんながフランクという名前だったり、経緯が一歳わからないまま亡くなってくフランクや伝聞でしか分からない理想の街と今の街の状況、平坦な発話と表情で淡々とした人物、それらが全部浮かずに強い説得力を持っていて求心力が激強い!!
ワンシーンの長さが結構短く時間もかなりザクザク削られているのですが、この語る内容に対する無駄の無さが強い説得力を生み出しているのかなと思った。
あと、服とか、渇いててざらついた街並みとか、音楽とかその演奏シーンとか しかもそれがめっちゃお洒落な白黒映像で本当にかっこいい....それと同時ににくめない間抜けさがお互いを弱めることなく両立していて、これ好きすぎました
糸

糸の感想・評価

-
ひとつも分からなかったのに「なんか良い映画だったな」て思わせてくるの何?唐突なスタンドバイミーがとても良い。サカリ・クオスマネンってもうちょい痩せたらリバー・フェニックスになれそうな感じだし。
Calamari Union

十数人のフランクからなるカラマリ・ユニオンが理想郷を目指して旅する不条理コメディ
シュールで間抜けなゴダール映画といった雰囲気
最終盤のバンド演奏2曲はとっても良い
一人旅

一人旅の感想・評価

3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
アキ・カウリスマキ監督作。

理想郷を目指して街中を彷徨う10数名の男の行く末を描いた群像コメディ。

フィンランドの巨匠:アキ・カウリスマキ14本目のレビューは長編第2作『カラマリ・ユニオン』。何やら語感のいいタイトルですが、中身はいつものカウリスマキ節全開のシュールな可笑しみに溢れたモノクロ映画です。

お話はさっぱりワケワカラン感じ。10名以上のフランクという名前の男たちが、自分たちが暮らしている地域から脱出して街の反対側にある理想郷「エイラ」を目指し冒険(?)を繰り広げるお話です。とはいってもフランクたちが住んでいる地域はディストピア的世界でも何でもないただの普通の都市で、彼らがなぜ存在するかどうかも定かでない理想郷を目指すのかが既に謎。で、彼らフランクは、それぞれのルートや手段を選択して今いる場所からの脱出を試みるのですが、なぜか行く先々で謎の刺客によって殺されていきます(笑)。ハンバーガーショップで油断した隙に殺されたり、美容室で女に取り囲まれて殺されたり、カフェで突然銃殺されたり(しかも周囲の客はみんな知らんぷり)。中にはトイレで自殺を図る者もいて、意味がさっぱり判りません。でも、この謎だらけのシュールな設定&作劇はカウリスマキの持ち味の一つでもあるので、まあ受け入れてしまいますね~(意味不明&シュールレベルは実質的長編第4作『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』に匹敵?)。

で、民謡風の音楽だったり、無表情のキャラクターだったり、理不尽な暴力描写だったり、そしてワンコ(今回はキュートな黒犬♡)の登場に至るまで、カウリスマキ映画に欠かせないモチーフ&演出が長編第2作にして既に確立されていたことが判ります(でも今回は“日本語”の曲は聞こえなかったなあ~)。あと印象的なのは唐突に始まる演奏シーンですね。いきなり始まるギター演奏に呆気に取られつつ、なんの曲なのかなあ~?って一応期待して耳を傾けていたら、まさかの「Stand By Me」。そこはベタなんかい!(でもちょっとだけアレンジ利かせてます)
Yuhi

Yuhiの感想・評価

-
北欧の鬼才、アキ・カウリスマキ第2作目。

冒頭、社会批判から始まってこれは革命の映画なんだと思わせられたが、実は最高のデタラメ映画だった。法外の快楽をたのしむカラマリ・ユニオンのやつら。

2作目にして作家性がほぼ確立されている。独特のシリアスさとユーモアが混じり合う作品。格差社会の批判もところどころ見受けられる。にしても死が軽く描かれているのが気になる。

カウリスマキ作品は『レニングラード・カウボーイズ・イン・アメリカ』と『マッチ工場の少女』から見たからこんなに撮るのが上手い監督だとは知らなかった。

カラマリ・ユニオンのファッションがかっこいい。あのたくさんのビンテージサングラスはどこに消えたんだ!

『レザボア・ドッグス』と『トレインスポッティング』に影響与えてそう。
>|

あなたにおすすめの記事