まーしー

ビューティフル・マインドのまーしーのレビュー・感想・評価

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)
4.5
天才数学者ジョン・ナッシュの半生を描いた、言わずと知れた名作。統合失調症との闘いや評価されるまでの長い道のり、そして彼を支える妻の苦悩などが描かれている。

もう何から語れば良いのか。それほど心に響いた作品だった。
まず、脚本が秀逸。前半と後半でテイストが異なるうえ、驚きの真実が待っていた。再鑑賞すれば、その驚きは減る一方で、前半に用意された多くの伏線を楽しめることだろう。

次に、人の優しさ、温かさに触れることができた。統合失調症を発症した人が、精神科病棟ではなく、家庭・地域で生活するには周囲のサポートが不可欠だろう。
本作では、妻のアリシアが大きな存在だったように思う。次いで、同僚たち。
奇人変人として見捨てることなく、どこかで敬意を抱きながら接し続けていた。人として当然のように思える行動かも知れないが、そう簡単にはできないことだと思う。
そのような人々の振る舞いを見て、心が温まった。

また、主人公ジョン・ナッシュを演じたラッセル・クロウも素晴らしかった。
仕草や表情、話し方、どれをとっても他の人とは違う。突拍子もない発言や視線が合わない姿、独特の歩き方。どれも特徴的に映った。
特徴あるが故に周囲から稀有な目で見られる現実も描かれていたが、ジョンが純粋な心の持ち主であることも伝わってきた。そして、その純粋な人柄は憎めない存在に思えた。

天才と奇人は紙一重というが、まさにその言葉を象徴したようなジョン・ナッシュ。
学問における輝かしい功績の陰では、人一倍の苦悩があったことが伺える。
私のような凡人が経験することのない、天才ならではの苦悩と、人々の温かさが伝わってくる素晴らしい作品だった。