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ビューティフル・マインドのriikoのネタバレレビュー・内容・結末

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

一人部屋の中で窓ガラスに数式を書き、ガラス越しに見る外の世界。
数式を通してしか現実を受け入れようとしない数学者のジョン(ラッセル・クロウ)。
他者の存在価値を認めていない。求めるのはこの世の真理のみ。

けれど、恋人と出会って価値観が変わっていくんだよなあ。
出会い始めの頃は堅苦しいんだよね。

白いハンカチをあげた恋人アリシアとジョンのやり取り。

『幸運のお守りだと思って(持っててね)』

「幸運なんて信じないよ。
・・・でも、物の価値は認める」

なんて現実的で、そしてロマンチックなんだろうか…良いなあ。

そして、プロポーズのシーン。

「僕らの関係は一生続くのかな?
証拠が欲しいんだ、信頼できる経験的データを…」

『待ってよ、私にはロマンスへの憧れしかないわね…そうね、宇宙の大きさって?』

「無限だ、データがある」

『証明されてないわ、目でも確かめてない』

「でも信じてる」

『うん、愛もそれと同じよ』

この頃には窓ガラスには数式は書かれなくなっていて、
目の前の現実を受け入れはじめている…と思っていたけれど・・・

ここからのラッセル・クロウの苦悩の演技が真に迫る。
幻覚の対処方法としての「解」を求めつづける描写がね、もう苦しい。

『苦しみの解き方は、頭の中ではなく心の中にあるのかもしれない』

アリシアが悟してくれなければ、彼は「解」が見つからずに苦しんだままだったろうな。

そして、教壇に復帰したジョンがまた窓ガラスに数式を書くシーン。

一人部屋ではなく、学校の図書室での窓ガラス。
窓の内側にはジョン一人ではなく、大勢の教え子たち。
ジョンが他者を受け入れたんだよね、きっと。

そして、書かれた文字は「∞」
窓の外側(現実)と内側(数式を介した想像)の世界があわさると、無限大に可能性が広がるということ。

∞が画面いっぱいに映し出されたあとに、ジョンの顔、生徒たち、外の世界が写って、なるほどなあ、って。

人はひとりでは成長に限界があるし、
かといって思考を止めても然りで、
知見と想像が2つ揃うことが大事なんだと思わされる。

ラストスピーチはわかっていても号泣。
“理”を追求し続け数式を導く人生だったジョンが行き着いた「解」。

「謎に満ちた愛の方程式の中に、“理”は存在するのです」

そしてそっとポケットから出す白いハンカチ。
ジョンが辿り着いた真理とは人の愛だったということ。

観るたびに自分の原点に立ち返れる。
感謝しかない。
ジョンとアリシアの冥福を改めて祈りたい。
riiko

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