このレビューはネタバレを含みます
大資本によって農民が苦境に晒されるというテーマは日本で言えば「蟹工船」的なものを感じる。
それはそれで人としての尊厳を考えさせられる部分でもあるけど、そのテーマと共に主人公トムとその母親の親子の絆がヒューマンドラマとしての背骨になっていて美しい。
が事実苦境に次ぐ苦境が描かれるので、何とも心苦しい。
道中のドライブインでパンを求めた時の店員や、店員と客のやり取りは名シーンだと思う。
「やさしいじゃない」というセリフは何気ないが、その立場をわかる者たちの共感を上手く感じさせるね。
砂漠越えや検問をいくつも乗り越えて到着したカリフォルニア。
しかしそこからがまた苦難の本番だった。
大農場の横暴は確かにヒドい、一方で政府経営のキャンプはキレイすぎて「政府の宣伝?」とも思ってしまったがw
委員を立てて自治をするというのは社会主義的な感じだけど、これは原作からの思想なのかな。
とかく故郷を去って新天地へ向かおうとする主人公たちの、その根底にある生きるための心の強さには感じ入る。