このレビューはネタバレを含みます
この渡部篤郎はどこかあどけない無垢さがあってステキ。
禍々しい神に仕える血筋の女、美希を演じる天海祐希も人並外れた存在感を放ってハマっている…けども少しエロさが欲しかったかな。
悲劇に傾斜していくしかない感じは分かるが、狗神って何なのかがブラックボックスになったままで、あそこまでの惨劇が起きる必然性が見えない。
原作も読んでいないし想像で言うのだが、「狗神憑きの血筋」というのは拝み屋、または呪術をあやつる家だと思う。
連綿と続けられてきた呪いの血筋は穢れを負って、忌み嫌われつつも存在を認められてきた。
しかし母親から美希へうまく代替わりせず、狗神をコントロール出来なくなった呪術家系は禍を呼ぶだけのものとして、滅び去ることを強いられた…という事だろうか。
美希は本当は家や村の呪縛から逃れたかった。たとえ身体が滅びたとしても、魂は解き放たれたのだと思いたい。
「死国」よりエロとグロの要素が濃くホラー寄りだが、ホラーではないかな。猟奇的ロマンスとでも呼ぶか。
原田監督とよく仕事している村松崇嗣の音楽もよかった。