Tラモーン

男たちの挽歌のTラモーンのレビュー・感想・評価

男たちの挽歌(1986年製作の映画)
3.7
そう言えば『インファナルアフェア』くらいしか観てないなってことで香港ノワールの名作を初鑑賞!


偽札ビジネスで香港の裏社会を牛耳るマフィア幹部のホー(ティ・ロン)とその相棒マーク(チョウ・ユンファ)。ホーの弟であるキット(レスリー・チャン)は兄がマフィアであることを知らずに育ち警察官となる。闘病中の父の頼みにより、ホーは台湾での取引を最後に裏家業から足を洗うことを決意するが、仲間の裏切りにより取引現場を襲われたホーは警察に逮捕されてしまう。そのころ、陰謀により父は殺されキットはホーがマフィアであることを知る。一方でホーの無念を晴らすため、裏切り者粛清のため単身報復に乗り込んだマークは敵を皆殺しにするが足を負傷してしまう。数年後、出所したホーを待ち受けていたのはツラい現実だった…。

"入るのは楽だが抜けるのは難しい"

さすがに30年以上前の作品なので古さは感じるものの、バイタリティに溢れた熱いノワール作品だった。
個人的にここ最近見慣れている韓国ノワールと比べると暗さや陰湿さはほとんどなく、蒸し暑いまでの熱と、どこか香港映画特有のドタバタ感も感じる独特の作品だった。

前半部分はとにかくマークの復讐劇が見どころだった!裏切り者を葬るため、単身敵地のレストランに赴き銃弾の雨を浴びせるシーンは血生臭さと圧倒的な熱量で描かれる。もうさながら『ゴッドファーザー』のマイケルよね。本当甥殺しを許してくれたボスの仁義と男気も素敵。

そこから一転のホー出所後の落ちぶれたマークは切なかった。観ていてつらかった。しかし名誉や安定した生活よりも失ったプライドが心の奥底で燃えているマークはやはりカッコよかった。

出所後すぐはキットに絶縁されたことや過去への罪の意識から、裏家業は断りタクシー運転手として真面目に働いてきたホーだったが、弟のため、そして親友マークのため銃を取る決意にいたるところは単純にカッコイイ。
そんなホーを優しく見守る、前科持ちにも優しいタクシー会社社長のキンさんが本当いい人。

全体的にストーリー展開は荒っぽさがあるものの、やはり最後の銃撃戦のアクションはド派手で面白い。それまではカンフー主体だった香港アクションにここまで大幅にガンファイトを盛り込んだ作品はそうそうなかったらしい。
ラストカットの2人のシーンは泣けるね。

"俺は負け犬にだけはなりたくない。失ったものを取り戻したいんだ"


あ、でも銃弾摘出手術の現場にあんなあっさり入れるわけないでしょ!ってとこはちょっと笑ってしまいました。
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