ウシュアイア

英国王のスピーチのウシュアイアのレビュー・感想・評価

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)
4.3
[あらすじ]
幼いころより吃音に悩むヨーク公アルバート王子(後のジョージ6世)は父ジョージ5世により、様々な場面において国民に向けてのスピーチをさせてきた。アルバートは様々な方法で克服しようとするが、なかなかうまくいかない。

そんな中、妻のエリザベスはスピーチ矯正師ローグの元へ夫を連れていく。アルバートは、最初はローグのやり方に反発していたが、次第にローグと打ちとけていく。そんな中、父のジョージ5世が崩御し、兄がエドワード8世として即位するものの、シンプソン夫人との結婚のため、すぐに退位することになってしまい、アルバートはジョージ6世として即位する。ローグの協力を経て、戴冠式をなんとか乗り切るものの、ナチス台頭の時代、イギリスとドイツが戦争になり、ジョージ6世は大英帝国全土に向けて、スピーチをすることになる。



日本では3月11日に東日本大震災が起こり、3月17日、天皇陛下が発せられた国民に向けてお言葉が放送され、多くの国民の心に響き、君主を戴く国家においては、君主の言葉には国民をまとめる力があり、国難の折には極めて重要な役割をもつことを実感した人も少なくないだろう。

余談だが、こうした国民に結束を求めるメッセージを発するにしても、大統領のように国民から選ばれた元首では政治性を払拭することは難しいが、選挙によらない国家の伝統に基づく権威をもつ君主であれば、政治性を抜きにすることができるというメリットがある。

物語の序盤で、ヨーク公アルバート王子の父ジョージ5世は「国民の機嫌を取らなければならない」と息子にボヤく。ちょっと斜に構えた言い回しだが、もうこの時代(大戦前)にして国王は国民に親しまれる存在でなければ尊敬されない、と言っているのである。

その帝王学に基づき、アルバート王子吃音の克服に努めることになるである。王も生まれながらに王と言うわけではなく、努力もあり、周囲の励ましやサポートがあって王になっていくというストーリーは確かにオスカーを獲得するだけの感動作と言える。

(2011年4月2日@TOHOシネマズシャンテ)
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