映画鑑賞のおさる

英国王のスピーチの映画鑑賞のおさるのレビュー・感想・評価

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)
3.8
第二次世界大戦前の英国王室が舞台のドラマ。吃音に苦しむアルバート王子(のちのジョージ6世)が、王位を継承し、その症状を乗り越えて、ドイツとの開戦に際してのスピーチを読み上げるまでの姿を描く。

治療を担当する言語療法士のライオネルが型破りで面白かった。治療のためとはいえ、王子と対等な立場で会話し、友達のようにふるまう姿に、度胸と豪胆さを感じた。王子との身分の差が大きく、その絆を簡単に"友情"と呼んでしまってよいのかわからないが、とにかく2人は固い信頼関係で結ばれていたようだ。

コリン・ファース演じるアルバート王子/ジョージ6世の吃音は、聞いていてこちらまで吃音になりそうなくらいだった。子どものころの経験が原因で発症することが多いようだから、子どもに接するときは本当に気を付けないといけないなと思った。

ストーリーとしては、国民の期待に応えるために、吃音とプレッシャーに苦しみながらも役割を全うしようとするアルバート王子の様子がよく描かれていたと思う。最後のスピーチの場面では、ドイツとの開戦という最悪の事態に、なんとか国民を勇気づけようとする姿が感動的だった。

個人的なお気に入りのシーンは、スピーチの練習で汚い言葉を連発する場面だ。ファ〇ク!ファ〇ク!ファ〇ク!ファ〇ク!ファ〇ク!と何回も叫びまくる(笑)草競馬の音楽に合わせてスピーチと暴言を軽快に口にするシーンも面白かった。王族でもこんな言葉を発することがあるんだなと、王子の人間らしい一面が見えて少し親近感がわく場面だった。

もう一つ驚いたのは、つい最近亡くなられたエリザベス女王がアルバート王子の娘として登場したこと。1930年代ごろを描いた作品なので、歴史の1ページを見ているような気持ちで鑑賞していたが、実際に知っている人物が出てくると、歴史はつながっているのだなあとしみじみ思う。今は亡きエリザベス女王も、この映画をみて、自らの父親に思いを馳せたのかな。