映画鑑賞のおさる

魔女の宅急便の映画鑑賞のおさるのレビュー・感想・評価

魔女の宅急便(1989年製作の映画)
4.7
『君たちはどう生きるか』のアカデミー賞受賞記念の金曜ロードショーで鑑賞。13才の魔女の女の子・キキの成長を描いた物語。

小さなころから何度も観てきた作品だが、何度みても面白い。そして昔観たときと違う新しい発見もあったりしてかなり楽しめた。

例えば、冒頭でキキが父親に"高い高い"をお願いする場面。なんでもないような場面だが、子どもができた今になって観ると、子どもの成長の喜びと旅立ちの切なさを感じた。父親がすんなり持ち上げるのではなく、しっかり踏ん張りなおして持ち上げているところに、なんとも感慨がある。

また、登場人物たちのキャラクターもすばらしい。主人公はもちろん、その周りを取り巻く主要な登場人物たち、ネコのジジ、街でふと言葉を交わす人々に至るまで、どの登場人物にも魅力がある。「わたしは電気は嫌い」と繰り返すおばあさんや、「あのブラシはわしが貸した!」と自慢するおじさんなど、愛すべきキャラクターがたくさんいる。

ストーリー的にも、大人への成長を感じさせる脚本であるのとともに、恋とも友情ともわからない感情の狭間でゆれるキキの心情がよく表されていて、小さい頃の懐かしい感情を思い出しながら観ることができる。また、冒頭で出てくる街のシンボルである時計台が、クライマックスでもうまく使われているのにも脚本の秀逸さを感じた。

そして音楽もすばらしい。ユーミンが歌う主題歌、街の美しい風景とともに流れる音楽など、どれも聴き心地がよい。特にエンディングの「やさしさに包まれたなら」を聴くと、小さい頃からずっとかわいがってくれたばあちゃんのことを思い出す。そういう懐古的な良さも音楽によって増幅されていると思う。

いいところを挙げればキリがないほど、ストーリー・音楽・キャラクターなど、どれをとっても申し分なしのアニメだと思う。子どもがもう少し大きくなったら一緒に観よう。