ほーりー

拾った女のほーりーのレビュー・感想・評価

拾った女(1953年製作の映画)
4.5
「死の接吻」で残忍なギャングを演じ、一躍時の人となったリチャード・ウィドマーク。のちにヒーロー役に転じたが、やっぱりどう見ても悪人ヅラなんだよね。

その中でも、本作「拾った女」はヒーロー役として成功した最初の作品だと思う。

前科三犯のスリが、たまたますった女の財布にあったのが国家機密が書かれたマイクロフィルムで、スパイたちに命を狙われる目にあう。

ストイックな一匹狼然とした常習犯でありながらも、最後は仲間や恋人に手をかけたスパイに怒りの炎を燃え上がらせ対決するウィドマークは、まさにダークヒーローとしてこれ以上ない適役である。

そして本作といえばアクションの凄さ。しかもただ体を張っているのではなく、アクションをとらえたカメラワークがまた凄い。

敵役が女をさんざんひっ叩くシーンの長回し、ウィドマークが自分の隠れ家から脱出をはかるシーンのカメラの自然な動き、そしてラストの一騎討ちの暴力描写(階段シーンがマジ痛々しい)、どれをとっても素晴らしい。

今のアクション映画って、観客が満足しないせいか、迫力やスピーディーさだけでしか勝負していなくて、この点は凄く勿体無いことだと思う。
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