バルセロナの恋人たちの作品情報・感想・評価

「バルセロナの恋人たち」に投稿された感想・評価

1980年代のニューヨークを描くホィット・スティルマン監督の三部作の第二作目。しかし、今回はニューヨークもニューヨーカーも出てきません。前作『メトロポリタン』で描いたのがニューヨーク上流階級でアイビーリーグ(名門私立大学)に通う「プレッピー」だったのに対して、本作『バルセロナ』で描くのは「ヤッピー」です。

ヤッピー(Yuppie)は"Young, Upwardly-mobile Professional"の略で、若くて上昇志向の高いビジネスパーソンです。一昔前の日本では「ヤンエグ」って言われてましたね。主人公の一人であるテッド(テイラー・ニコルズ)は典型的なヤッピーで、ブルックス・ブラザースを着ています。シカゴの自動車関連企業に勤めていて、バルセロナに駐在しています。ちなみに、テイラー・ニコルズは前作『メトロポリタン』で主人公と同じ女の子が好きなチャーリーを演じていました。次作『ラスト・デイズ・オブ・ディスコ』では本作のテッド役で再び登場します。

もう一人の主人公はテッドのいとこで海軍将校のフレッド(クリス・アイグマン)です。フレッドはバルセロナに寄航する艦隊の広報役としてバルセロナに訪れ、テッドの家に居候することになります。ちなみに、クリス・アイグマンは前作『メトロポリタン』で主人公をグループに誘うリーダー的な役割のニックを演じていました。そう、このホイット・スティルマン監督三部作では必ずこの二人が出てきます。

舞台は1980年代初頭の反米感情の強いスペインの都市バルセロナ。テッドと居候する従兄弟のフレッドは仲は良いのですが、性格は全く違います。「魚は三日おけば臭くなる」つまり居候も三日すると嫌な部分が目につくとテッドはフレッドに言います。しかし、実際には一日目から「臭い」経験をしてしまいます。

テッドは真面目。見た目がいい女性より、真面目な女性と長い交際がしたい(と失恋の経験から今は思っている)。フレッドはそんな真面目なテッドを茶化す。テッドは侯爵の信奉者で皮のパンツを履いて拷問グッズを集めていると女の子たちにデマを流したりします。それだけではなく、スペインの反米感情も茶化してしまう。テッドとフレッドはうまくいくのか?お互いに何を学ぶのか?という話です。

ホィット・スティルマン監督作品なのでとにかく会話がスノッビーです。日常会話ではあまり使われないインテリな単語がポンポン出てきます。そして、それが嫌味ではない。全体の上品な雰囲気の演出となっています。初期のウッディ・アレン監督作品に近いとも言えます。つまり、ウッディ・アレン監督作品が苦手な場合、ホィット・スティルマン監督作品も苦手な可能性が非常に高いです。

前作は自主制作の低予算でしたが、本作からメジャーのハリウッド作品になっていて予算もたっぷり(と言っても3億円くらい)。画質もそれに伴って大幅に向上しています。クライテリオンのリマスター版で観たのですが、最近の映画と比べても見劣りのしない綺麗な画像です。バルセロナの風景にブルックス・ブラザースの衣装や海軍将校の衣装がパリッと映えます。ハリウッド的には控えめな予算の割にはそこそこヒットしたらしいのですが、日本ではあまり話題にならなかったようです。いい映画だと思うんですけどね。