ゆん

追悼のざわめきのゆんのレビュー・感想・評価

追悼のざわめき(1988年製作の映画)
4.5
共感や感動なんか糞をくらえ!エログロナンセンスな世界観を見世物小屋根性で魅せる最底辺スペクタクル
フリークスの中に咲く幻想的な美男美女、露悪的で俗物で芝居がかった狂人たちといい、まるで丸尾末広の漫画をよんでいるよう。

社会不適合で人形性愛の中年男、世間や兄から性被害を受ける小人症の女、女性の下半身に見立てた丸太と共に暮らす浮浪者、そして妹を殺し死体を食らう少年。
そのいずれもが社会から著しく逸脱した人間達だが、差別などの世間の抑圧に反発したり、やたらに悲観したりはしない。むしろキ○ガイとしてのプライドや、気品すら感じるストイックさで己の狂気を育んでいた。
物語が進むにつれ彼らはより一層社会や世間といったものから剥離していく。
序盤で描かれた「普通の人」の視点や差別感情がそぎおとされ、狂人達の葛藤や愛憎に完全にトリップする感覚がとても心地よい。
小人の女がマネキンを燃やし胎児を取り上げるシーンでは、リアリズムをもとに構築された世界観のなかで唐突にファンタジーを突きつけられ戸惑いながらも、うっとりするほど完璧な美しさを誇っていた。語り継がれるべき名作。
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