ゆん

マンディ 地獄のロード・ウォリアーのゆんのレビュー・感想・評価

3.9
まず、本作の「マンディ」という女性に心を鷲掴みにされてしまった。
痩せた身体に大きすぎる眼、幽霊のような長い髪。けれど内面は穏やかで、日がな1日絵を描いたり、読書をして過ごしている。夜は熊のような夫とB級映画を観て、今日読んだ本や宇宙の話をする。ロマンチストで、痛みを知っている優しい女性。そしていつも、何かに怯えている。

物語の中とはいえ、いや物語だからこそ、こんな人が殺されてはならないと思えた。
だから復讐鬼と化したニコラス・ケイジに感情移入したし、余韻もサービスも無しのストレートな殺し方には潔さと強い殺意を感じとることができた。

主人公がニコラス・ケイジになることで、ストーリーに良い意味での安心と信頼感をもたらした。
例えば彼がどんなにやられていても、後で無双することの布石に見える。なのに予定調和とは無縁で、最後まで緊張感を持って観られるのは、どこか作品とミスマッチなスター性のなせる技かもしれない。
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