ゆんさんの映画レビュー・感想・評価

ゆん

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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.8

アートなのにゴアでホラー、リアルなのに生活感のない、つかみ所のないようで単純な、見たことのあるようで無い不思議な映画。
終盤出てくる多重人格サイコみたいな花を使った芸術死体が最高。
精神の不安定さを描
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.5

「私は今、韓国映画を観ている!」という気持ちにどっぷり浸かることができた。
思えば初めてきちんと接した韓国映画はポン・ジュノ作品「殺人の追憶」だった。ミステリーとしての完成度は言うまでもなく、これほど
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少女椿(2016年製作の映画)

-

いつでもハイセンスでカッコよくて絵が嫌味なくらい上手くて意味深で実は中身空っぽで空虚な丸尾末広作品の属性そのまんま映像化しましたという感じ。そしてなにより主役の女の子が可愛くて、それだけで見続けてしま>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

3.0

「誰もしらない」を観たのはもうずいぶん前のことだけど、未だに鮮烈に記憶に残る作品だ。
何よりも、色んな意味で期待を裏切る内容だったからだ。親からの悲惨な虐待、世間の大人たちの見て見ぬふりに囲まれながら
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平凡ポンチ(2008年製作の映画)

3.6

もともとジョージ朝倉のカラオケバカ一代という漫画で氏が『殺しの烙印』フリークであることが頭にあったので、別作品とはいえ映画化を担うのが佐藤佐吉監督と知り妙に納得というか、佐藤佐吉と鈴木清順の親和性につ>>続きを読む

犬猿(2017年製作の映画)

2.0

兄弟同士が犬猿の仲という『人が人を嫌うこと』をテーマにした作品ですが、ヒリヒリしたどん底の憎悪とかではなく、結局人と人とは分かりあえる部分があるよね、だって血の通った兄弟だもの、みたいなぬるいヒューマ>>続きを読む

ファミリー☆ウォーズ(2018年製作の映画)

3.6

アンチ家族愛、アンチハッピーエンド、ビバ!暴力、Let's発狂!
ジャパニーズボンクラ魂全開でお贈りする、現代一家の転落劇。

ビデオ撮りで一つの家を中心に展開する物語は、いかにもアングラ低予算な雰囲
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

2.9

ニコール・キッドマンのアスリートのような身体と娘役のチョロさはエロくて良かった。

空虚さや人間味のなさといった冷たく渇いた演出は、もちろん制作者の意図するところだろうが。それは物語の基盤となるものの
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追悼のざわめき(1988年製作の映画)

4.5

共感や感動なんか糞をくらえ!エログロナンセンスな世界観を見世物小屋根性で魅せる最底辺スペクタクル
フリークスの中に咲く幻想的な美男美女、露悪的で俗物で芝居がかった狂人たちといい、まるで丸尾末広の漫画を
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フロンティア(2007年製作の映画)

3.3

暴動が多発しディストピアと化したフランスで、騒ぎに乗じて金を奪いオランダへと逃亡した移民グループ。その片田舎の宿屋を営むのはキ○ガイ食人一家だった。

よくある殺人鬼もののフォーマットに則っているよう
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骸 -MUKURO-(2015年製作の映画)

4.0

これぞジャパニーズスプラッターだと断言しよう!美少女と残酷愛のロマンがここにある。

ギニーピッグ厨大歓喜なクオリティのゴア!ゴア!低予算作品とは思えない程画面が美しく、見やすさ、理解しやすさにこだわ
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マンディ 地獄のロード・ウォリアー(2018年製作の映画)

3.9

まず、本作の「マンディ」という女性に心を鷲掴みにされてしまった。
痩せた身体に大きすぎる眼、幽霊のような長い髪。けれど内面は穏やかで、日がな1日絵を描いたり、読書をして過ごしている。夜は熊のような夫と
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RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

4.5

多岐川由実の「聖獣学園」みたいな、性もモラルも乱れた学園に入学したウブな少女が、いやらしい洗礼を受ける中で自身の性に目覚めていくという成長物語。この古典的なストーリーに、どこまでもロマンを掻き立てられ>>続きを読む

ミスミソウ(2017年製作の映画)

4.5

こじらせひねくれたオタクの考えうる最高の『美しい青春物語』がここまで完璧に映像化されることに感動。
これはあくまでも加虐と被虐に翻弄される美少女を愛でるフェチの世界だ。
そして原作に対して忠実な映画化
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クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

1.9

斬新で画期的な設定も、結局ありきたりな、既視感ありまくりの家族愛とか、安直なお涙頂戴を盛り上げるための材料にすぎない。「音を出してはいけない」という世界に対する誠実な姿勢がなく、だからこそ矛盾や穴だら>>続きを読む

ブラッド 血肉のいけにえ(2011年製作の映画)

4.2

量産されるゾンビ映画は、既に素晴らしい作品が多数存在するため安易なパロディに陥りがちであり、知らぬ間に『鉄則』とか『ゾンビ映画はかくあるべし』などという残酷映画にとって最も唾棄すべき思考に取りつかれて>>続きを読む

鮫肌男と桃尻女(1998年製作の映画)

1.5

「鮫肌男と桃尻女」に前時代的な男女役割を良しとするナンセンスなエロスが無いなんて及び腰が過ぎる。
良いオンナは良いオトコ、良いセックスによって作りあげられるという思想を恥ずかしげも無くエンターテイメン
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神様の愛(う)い奴(1998年製作の映画)

4.5

「ゆきゆきて神軍」が奥崎と同じ狂気と矛盾のなかで作られた映画史上類を見ない邪悪な作品だとして。本作「神様の愛い奴」は更に老いぼれ狂気に腐敗臭を纏わせた奥崎謙三を、撮る側がいかに常識から逸脱することなく>>続きを読む

ビジターQ(2000年製作の映画)

4.4

遠藤憲一の妻がシャブ中の内田春菊という時点でなんだかどうでも良くなってくる気もするし、内田春菊が母乳を出しまくる狂気のシーンはどんなホラー映画が束になっても敵わない恐怖だった。
そんなカオスの中で、思
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ハードスプラッシャー(2008年製作の映画)

5.0

どんな大作が一流のスタッフと俳優を揃えても敵わない、インディーズだからこその優れた点をかき集めて出来たような作品だった。
ストーリーは、監督演じる主人公の妻が出産中に亡くなってしまうところから始まる。
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屋敷女(2007年製作の映画)

4.2

欲しいのはうわべだけの親切に見せかけたマウンティングや甘ったるい共感なんかじゃなく、身を切り裂くような激しい衝撃と勝利のカタルシスだ。
夫を交通事故で亡くした妊婦の元に、ハサミを持った女が現れます。女
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バーニング・ムーン(1992年製作の映画)

3.9

諸々の事情でそうせざるを得なかったキャスティングが、奇跡的に必然性を帯びる瞬間があって。
オラフ・イッテンバッハ監督演じる主人公は堕落しきったジャンキーなんですが、体型も緩んで顔は攻撃的なのに覇気がな
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ネクロノス(2010年製作の映画)

3.7

中世の時代に処刑された呪術師ネクロノスが、現代に甦り人類滅亡のため虐殺の限りを尽くすというストーリー。
この127分は虐殺シーンを観るためにのみ存在します。ひたすら人がナイフで裂かれ、首を切られ、性器
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全員死刑(2017年製作の映画)

3.8

事実は小説より奇なり。の、創作の世界で取り上げられにくい奇怪な部分。着地点の不明な破天荒さを切り取るのが上手く、ゲッツ板谷氏のエッセイを読んでいる時のような面白さがあった。
ストーリーは「仁義なき戦い
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殺し屋1(2001年製作の映画)

4.9

紫のジャケットに裂けた口の垣原がジョーカーならば、バットマンは間違いなくイチだ。
黒いコスチュームに身を包み、踵の仕込み刃で人体を真っ二つにする様は馬鹿馬鹿しいほどキマっている。
ただ悲しいのは、イチ
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鬼婆(1964年製作の映画)

4.3

これは戦に翻弄される命達の悲惨さや、逼迫した貧しさに喘ぐ人々の姿をまざまざと見せつける戦乱の世の物語...ではない。
スクリーンに映るのは、世の中の理不尽さや生活の困窮を不自然なほどあっさりと受け入れ
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スワンズソング(2002年製作の映画)

3.8

二人の女子高生が、学習ノートに遺書を残して屋上から飛び降りた。
恋愛関係でもなく、ままごとのように手を繋ぎ、キスをする二人。その瞬間画面は赤いライトで照らされ、口移しされた虫が蠢く。
主人公の妹が、黄
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BAD MAX 怒りのリベンジ・ロード(2015年製作の映画)

4.0

あまりにも情けない邦題だ。
本作を手に取るような客層は、本家マッドマックスを観ていて、尚且つアダム・チャップリンやテーターシティも鑑賞済みである割合が高く、MADMAXと勘違いして観てしまう可能性が極
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先天性獣欲魔(1994年製作の映画)

5.0

障害者福祉施設の近辺でレイプ殺人事件が起きるなか、そこに知的障害を持つ主人公ミンミンが入所する。レイプ犯に目をつけられた彼女の、地獄のような毎日が始まる...。

変態というものが、行為そのものよりも
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テーター・シティ 爆・殺・都・市(2012年製作の映画)

5.0

モラルも魂も心意気も、この世のものは全て血潮と内臓にまみれてしまえ!遠慮も配慮も一切ナシの残酷絵巻。一体この作品の魅力を、どのように伝えたら良いだろう!

犯罪者予備軍を自殺させ、その死肉を食肉利用す
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

-

思春期時代を映画に救われた私は、山形の田舎から東京に出た。
はじめは好きな監督の作品が山形では上映しなかったためだったが、それからぼんやりと、もしかしたら映画製作に携わりたいのかもしれないと考えるよう
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ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)

4.5

論理感や道徳心などというものが、作品の面白さという圧倒的正義の前でどれほど無意味なのかと思い知らされる。ちょうど、論理感の欠如や矛盾の塊である奥崎謙三が、我々の感心を惹き付けてやまないように。

「悲
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殺人者の記憶法(2017年製作の映画)

3.7

主人公がアルツハイマーで尚且つ連続殺人鬼というブッ飛んだ設定は、ソル・ギョングの演技力をいかに信頼しているかという証だろう。実際あれだけの説得力と気迫をもって演じきられてしまうと、何の文句も出てきよう>>続きを読む

死霊の罠(1988年製作の映画)

4.2

ノイズ混じりのカメラは、縛られ胸をはだけた女性を撮している。腹を裂かれ、眼球をメスで突き刺された瞬間、視聴者は女性とシンクロし、その痛みを自分のもののように感じる。モノクロの瞳のセンセーショナルな画は>>続きを読む

スターシップ・トゥルーパーズ2(2003年製作の映画)

3.8

限界まで開かれた眼球は真っ赤に染まり、悲鳴をあげようと開いた口めがけて、丸々と太った芋虫のような物体がボトボトと降ってきた。それは、どす黒く腐って落ちた人の指だった。
口から出た大きな便所コオロギのよ
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カメリア(2011年製作の映画)

3.5

チャン・ジュナン監督観たさに借りた、三部構成のオムニバス作品だが、しょっぱなのウィシット・サーサナティアン監督「アイアン・プッシー」が素晴らしく、二本目の行定勲監督「kamome」のくだらなさに萎えた>>続きを読む

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