緑雨

崖の上のポニョの緑雨のレビュー・感想・評価

崖の上のポニョ(2008年製作の映画)
3.5
楽しめた。魚/半漁人/人間の変身過程にしても、古代魚ウヨウヨにしても、大波の造形にしても、実にシュールでオリジナリティに溢れている。

強烈にインプレッシブなシュール性、そして幼児性。ポニョのオレンジ色、リサcarのピンク色、フジモトのファッションに海底世界…暖色を基調にしたヴィヴィッドな色づかいからして幼児性満開。そういえば黒澤の晩年もこんな感じだった。

商業ベースに乗っていることが奇跡的と思えるくらいの、監督やりたい放題の個人的作品。その狂わしさはもはや愛すべき境地に達していると思うが、あまりに作家性が強いがためにスケールダウンは否めない。確かに台風シーンの作画は大迫力なのだが、どうも広がりのイメージに欠ける。和洋入り混じったような港町の造形も魅力的だけど、映画舞台としてそれを活かし切っているかというと、疑問。物語(お話)には関心がないが物語世界には期待したい自分としては、「小品」の枠内に収まってしまったことがやや哀しくもある。
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