こんな、いい意味でぶっ飛んだ作品が子ども向けの皮を被ってひっそりとしていたことが何よりも驚き。子ども向けでないとして、では大人向けかと言うとそうでもない。どこに連れて行かれるのかさっぱりわからないまま、結局行き着いた先も知らない場所。ただ底抜けの爽快感だけが残る不思議な味わい。色々と見立てたり、考察することは可能かもしれない。死後の世界やら、海は母性の象徴やら、言おうと思えば幾らでも言えなくはない。しかし、それすらも作品の持つ純粋で一途な狂気の下では、あまり価値あるものとは思えない。アニメーションの根本的な巧さと、動きの気持ちよさに揺られながら、知らない場所を旅するのも悪くない。
