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海の牙のほーりーのレビュー・感想・評価

海の牙(1946年製作の映画)
3.6
「海の牙」は敗戦直前のドイツから出航したU・ボートに乗り合わせた人々の運命をサスペンスフルに描いたフランス映画。

作られたのは1947年で、これ以前にはマイケル・パウエルの「潜水艦轟沈す」というのがあったが(本編を観たことないから断言できないけど)潜水艦が登場するのは序盤だけらしく、実質、潜水艦映画のはしりってこの作品ではないかと思う。

※これ以前にも潜水艦映画はあるデヨという情報ありましたらご一報を!

どういう話かというと、ゲシュタポや将校、そしてナチに荷担した金持ち、ジャーナリスト、学者らを乗せたU・ボートが南米に向かって旅立つ。目的は既に南米にいる工作員たちと合流してナチス再興を目指すため。

しかし、敵との交戦により乗船していた金持ちの妻が重傷を負うが、生憎と船医が乗り合わせておらず、ゲシュタポたちは仕方なく近くの港町からフランス人医師を拉致してしまう。

もう医者の立場からしたら、たまったもんじゃないです、これ。

やがて、ベルリンが陥落してヒトラーも死亡した情報が入り、潜水艦内には動揺が広がる。

そして、ひとり、またひとりと、悲観して投身自殺する者や、逃亡しようとして射殺される者が出て、艦内は益々不穏な空気が流れる……というのが、大まかなストーリー。

監督はルネ・クレマンで、医師が潜水艦に連れ込まれるシーンの狭い艦内での長回しや、カカオ豆貯蔵庫でゲシュタポが裏切り者を追い詰めるシーンの俯瞰のショットなど、映像センスの冴え渡った作品に感じた。

ただ今一つ盛り上がりに欠ける作品であり、これがハリウッドの職人監督だったらもっと面白くなるような感じもした。

■映画 DATA==========================
監督:ルネ・クレマン
脚本:ジャック・コンパネーズ/ヴィクトル・アレクザンドロフ
製作:ミシェル・サフラ/アンドレ・ポールヴェ
音楽:イヴ・ボードリエ
撮影:アンリ・アルカン
公開:1947年9月19日(仏)/1948年11月5日(日)
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