さうすぽー

最強のふたりのさうすぽーのレビュー・感想・評価

最強のふたり(2011年製作の映画)
4.3
自己満足点 85点

数年ぶりに観返しましたが、やはり非常にハートフルな映画ですね!


実在する二人の実話を映画化し、フランス映画において最大のヒットを果たした近年の代表作。

全身麻痺の富豪フィリップをスラム街出身の黒人ドリスが介護と世話役をする物語ですが、富豪の不随とスラム街の黒人という一見交わらなそうな二人が出会い、生きてきた環境や人種、好きな音楽等、何もかも違うけど二人の間に絆が生まれる物語。

こういった題材はヒューマンドラマ映画では何作か観たことありますが、その中でもやはり本作はトップクラスの傑作!

何もかも違う二人が次第に心を通わせていく過程が丁寧である上に、ちゃんと二人の間に何故絆が生まれたのかがしっくり来ます。

フィリップは自身の障害により、彼を慎重に扱ったり同情する目で見られることに恐らく辟易していたのだと思います。
実際、本編の最初では心を閉ざしている様にも思えました。しかし、前科もので破天荒なドリスは決してフィリップを同情する目で見ずに「障害者」としてではなく「人間」としてフィリップと接します。
ドリスも最初は介護を面倒臭がっていたものの、次第に心を通わせていって二人の絆が生まれます。
それをコミカルに、時に真面目に描いています。

これは去年の傑作映画「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」にも通ずる所があります。
障害者に対して理解しようとして色々な知識を身に付ける行為をして、慎重に接したりする結果、彼らの事を理解したつもりになるけど果たしてそれは本当にそうなのだろうか?
理解してると自分の中で思い込む事で特別扱いしてしまい、それ故に彼らが窮屈に感じてしまう事になるのかもしれません。
それを本作でも教えてくれた気がします。


さらに今作が素晴らしい理由はメッセージ性を強調していない事です。
普段こういった社会性のあるテーマを入れる映画はどうしてもメッセージ性が前面に出しすぎて、登場人物の台詞等に押し付けがましさが出てしまったり、描写が露骨になってしまう事がよくあります。
同じく違う人種同士の交流を描いた「グリーンブック」は良い映画でしたが、あの映画も黒人差別描写がやや強引だったりと押し付けがましさがたまに出てしまう映画でした。
しかし、「最強のふたり」は違います。
二人の交流をメインにして、押し付けがましさが全然無いです。それが本作の素晴らしい所であり、非常に上手いポイントかと思います。


数少ないけどケチ付けたい所を上げるとすれば、前半のドリスがフィリップの敷地内にある駐停車禁止エリアに停車してるドライバーに対しての行動は流石にやり過ぎな気がします。
そこはフィリップも「良いやり方だ」なんて思わずに「やり過ぎだ」と注意した方が良かったと思います。


この映画は自分が高校生時代の映画なので改めて気付いた点等もありましたが、やはりこの映画は心暖まりますし、心から観て良かったと自身もって言えます!


それにしても「最強のふたり」という邦題もお見事ですね!

タイトルを観てこう思います。
"最強のふたり"は、ふたりでいるからこそ"最強"の絆となり得たのだと。