このレビューはネタバレを含みます
実家で。
2012年のフランス映画。
監督は「セラヴィ!」のエリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ。
あらすじ
パリに住む富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ「盗聴者」)は頚椎損傷により、首から下が動かせず、介護人を雇うため、邸宅にて面接を開催する。そこに現れたのは失業保険を継続申請するためだけに面接に来た男、ドリス(オマール・シー「トランスフォーマー/最後の騎士王」)。他の候補者とはまったく異なるドリスに惹かれたフィリップは周囲の反対を押し切り、ドリスを雇うことにする。
Netflixにて、2度目の鑑賞。
絶賛コメディウィーク中ということで、この映画を鑑賞、といってもこれはコメディというよりかはドラマ寄りの作品だと思うが。
冒頭、既にフィリップとドリスのご存知「最強の2人」がアース・ウィンド・アンド・ファイアーの「September」に乗って、夜行ドライブしちゃうシーンがもうすでに楽しい。
やっぱ、宇多丸さんが言ってたけど、リズムに乗って縦ノリするシーンて、なんでこっちまで心が弾むんだろう。しかもSeptember、最高!!
そっから時間軸は2人の出会いへ。
こういう理性的なキャラが本能的なキャラに振り回される系の話は他にもあるけど、そういう作品て、そのアンバランスさから成るなんとも言えない愛くるしさ(一種ブロマンス及びウーマンス)にほっこりできるかが肝になってくると思うんだけど、その点このコンビは上々と言えるベストパートナーと言えるんじゃないだろうか。
フィリップのなんとも言えない上品さとドリスの割とヒヤヒヤするような無礼っぷりを寛容に受け入れる器の大きさも良かったし、なんといってもドリスのキャラがイイ!!端的に言えばガハハ系というか大雑把で無神経なキャラなんだけど、それが嫌な感じじゃなく、しょうがないなぁと自然と人の懐に入り込むような人懐っこさが堪らなくイイ!!俺の専門時代の悪友にも1人こういう奴がいて、そいつを思い出して、またニンマリ。オマール・シーの出世作も納得のキャラ造形だった。
多分、今作に眉を顰める人が居てもおかしくないけど、俺はそんなに感じなかったのは、やっぱり障害に対して人が感じる感情に対して、それをはねっ返すような明るさが溢れているからだと思う。
だって、フィリップがドリスと過ごす時間で見られるあの笑顔、すごく良いもんなぁ。
健常者、障害者関係なく、やっぱり人との出会いによっていくらでも変われるし、気の合う奴らと過ごす時間は誰であっても何者にも変えられない。
その瞬間瞬間が世代や格差や障害さえも乗り越えて、最高のひと時となる。
だから、お互い、最高の友だちと出会えたフィリップとドリスはやっぱり幸せ者なんだと思った。
一貫してダイナミックで破天荒なドリスがラストでフィリップに見せる繊細な表現が忘れられない。それは最高の友達に送る感謝の気持ちの表れかもしれないし、お互いが独り立ちするために、甘美な時間が終わることへの寂しさの表れかもしれない。何にせよ、グッときた。
やっぱ、友だちっていいなぁと思わせてくれる、そんな作品だった。