ハートブレイカー

パンピング・アイアン (鋼鉄の男)/アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男のハートブレイカーのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

邦題:アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男
原題:Pumping Iron


Netflixにて観賞。
1975年の南アフリカで行われた、ボディビルのミスター・オリンピア大会(と、アマチュアのミスター・ユニバース大会)の様子を撮影したドキュメンタリー映画。
子供の頃から20年以上、大のアーノルド・シュワルツェネッガーファンなのでNetflixで見つけて即観賞!

結論から言うとものすごく面白い!面白くて続けて2回見てしまった。
アーノルド・シュワルツェネッガー以外にも、ルー・フェリグノ、フランコ・コロンブなど、後に映画で活躍する人が出ており、彼らのやり取りと上手い編集でとても面白く仕上がっています。

前半のミスター・ユニバース大会のマイク・キャッツとケン・ウォーラーの話は、爆笑なのに最後には泣けるくらい切ない。
編集も上手く、試合前にケン・ウォーラーが「マイクは体の割に手足が細いから蜘蛛みたいだHAHAHA!試合前にマイクの服を隠して動揺させてやる!ケケケ」とフザけたことを笑いながら言っていて、少し後の試合前のシーンでマイクが「青いTシャツ知らない?」と言うシーンで爆笑!
ケンの野郎!マジで服を隠したのか!!!
周りが「ウォーラーの仕業だよ」と教えてくれたが、間違えて持って行ってしまったと思ってるのではないだろうか・・・

この“服を隠す”という陰湿な精神攻撃のせいか、マイクは惜しくも4位で入賞できず、ケンが優勝!
「蜘蛛みたいだ」とか、わざと服を隠してイジメてやろうと思われてたなんて知らないマイクは負けたショックを隠し笑顔で「ケンは素晴らしいよ!」と相手を賞賛し、「握手してこよう!・・・服も返してもらおう」と発言した後、カメラに背を向け、涙を拭う。これは切ない。

シュワルツェネッガーの若い頃のおフザケ感を見るのも本当に楽しく、インタビューで語った
「過去にとあるボディビルダーにアドバイスを求められた際に『今のトップ選手はみんな叫びながらポージングするんだぜ!』と大ホラを吹き、2時間みっちり叫びの練習をして、試合当日、ソイツが本当に叫びまくって変人だと思われて強制退場させられたんだHAHAHA」
というエピソードや、何度も連発する下衆い下ネタが面白い。

さらに、後輩の選手たちに的確なアドバイスをしたり、刑務所に慰安の為に訪問し、囚人に筋肉を見せたり(当然ゲイが過剰反応するが、それも面白い)など、ボディビル界にしっかりと貢献する様子も映されていて興味深い。


後半はメインイベントのミスター・オリンピア大会。
アーノルド・シュワルツェネッガーとルー・フェリグノの勝負。
1つ下の階級のフランコ・コロンブとも仲が良く、一緒に写った写真が映ったりするのは後述する理由により歓喜せざるを得なかった!

シュワルツェネッガーも前述のケン・ウォーラー同様、対戦相手に陰湿な精神攻撃をしかけるシーンがあり、「セコいなぁ~~」と笑える。
ルー・フェリグノがどれだけ体を仕上げて来ようと、「(まだ足りないとばかりに)アドバイスしてやれば動揺して試合で力を出せなくなるはずだ」と言い、試合前に一緒に食事をしながらチクチク精神攻撃をするのも笑える。
しかし、ルー・フェリグノ陣営もとにかくシュワルツェネッガーをわざとらしくベタ褒めしまくることでプレッシャーを与える精神攻撃返しを繰り出すなど、ボディビルの試合や筋トレ以外の面での戦いも見られる。
試合直前のパンプアップ時にも、ルーがうるさいだとか、バーベルを俺にブツけるなよだとか、チクチクチクチク陰湿な攻撃を仕掛け、試合開始。

結果はシュワルツェネッガーの優勝。
1つ下の階級の優勝者であるフランコ・コロンブとの最後の試合にもシュワルツェネッガーが勝ち、前人未到のミスター・オリンピア6連覇!
直後に引退発表をし、先ほどまで煽りに煽っていたルーの誕生日を祝ったり、ルーと一緒にバスに乗って「君の家にケーキを食べに行こう!」だとか「君は最高だよ」と賞賛して終わる。


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上の方でチラッと触れたように映画好きとしての視点で語ると、

●シュワルツェネッガーと仲の良いフランコ・コロンブは、後に俳優として『コナン・ザ・グレート』『バトルランナー』などでシュワルツェネッガーと共演している。
さらに『ターミネーター』一作目のカイルの回想シーンで、未来の隠れ家に現れて人間を虐殺し、サラの写真の消失の原因となるターミネーターを演じているのが最も有名だろう。

●ルー・フェリグノは昔のテレビシリーズの『超人ハルク』で全身を緑色に塗ってハルク役を演じていた。
2003年のアン・リー監督、エリック・バナ主演の『ハルク』には警備員としてスタンリーと共にカメオ出演し、ブルースがハルク化した際の声も担当している。
さらに2008年のルイ・レテリエ監督、エドワード・ノートン主演の『インクレディブル・ハルク』にもカルヴァー大学の警備員(ピザで買収される)としてカメオ出演し、当然ハルクの声優も担当した。
さらにさらに、2012年の『アベンジャーズ』と2015年の『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』でもハルクの声優を担当している。
それを踏まえて本作を見てみると、ルー・フェリグノが辛いトレーニングの最中にあげる気合の雄叫びが、完全にハルクの声と一致するので、そういう楽しみ方もできる。