ハートブレイカー

ターミネーター ニュー・フェイトのハートブレイカーのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

邦題:ターミネーター:ニュー・フェイト
原題:TERMINATOR Dark Fate

公開日に「頭痛が~」と嘘をついて仕事をサボって朝イチで観て来たが、なんだんだで書くのに時間がかかりすぎてこのタイミングでレビューUP。

子供の頃に見たT2の影響で映画というものにハマり、実際にターミネーターを作りたい、スタン・ウィンストンの元(氏は2008年に亡くなり現在はLegacy Effectsという会社になっている)でアニマトロニクスをやりたいという思いで大学では精密機械やロボット工学などを学び、大学在学中にCGへの興味が強くなったのでその後CGを勉強し、今ではプロの3DCGデザイナーをやっている生粋のターミネーターオタクです。
飼っている愛犬(シベリアン・ハスキー)の名前はカイルです。


では本作について。
冒頭、サラの精神病院でのビデオから始まった時点でボロボロ泣いたし、その後の若いジョン&サラのCGでボロ泣きだった。
しかし、ジョン射殺ですぅーーっとワクワクが引っ込んだ。
そこから数分間は、「いや、これはサラが見てる悪夢で、後々ジョンが出て来るはずだ・・・」と思っていたがダメだった。

この冒頭数分の時点で、その後ストーリーがどのように展開していったとしても本作の評価はある一定ラインを超える事はなくなってしまった。
映画でもゲームでも「続編の話を進める為だけに、前作主人公を雑に殺す」という展開の作品がよくあるが、この手法が本当に嫌いだ。

【ジョンが死亡するという事に物語的な必然性がない】
【ターミネーターという世界の設定的におかしい】
この2点があまりにも大きいので、どうしても受け入れられなかった。
T1・T2を愛していればいる程、受け入れられるはずがないのだろうと思う。

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ではまずは物語的必然性に関して。
本作では、T2にてスカイネットの誕生を阻止した事により、未来にはスカイネットが存在していない。
しかし、リージョンという別のAIが反乱を起こしている。

T2でサイバーダインを爆破したことでスカイネットが生まれ無かったとしても、他社がAI技術を研究していけばいつか似たような技術が完成してしまう(=今作のリージョンの誕生)という点には全く不満はない。

「もしライト兄弟がいなかったとしても現代に飛行機は存在していたはず」
「グラハム・ベルがいなくても電話は存在していたはず」(メウッチ、グレイ、エジソンなんかもいるけどとりあえず置いておく)
というのと同じで、マイルズ・ダイソンが死にサイバーダインが爆破されても、後に誰かが高性能AIを開発する事は避けられなかったはず。
その中のどれかがスカイネットのような存在になってしまうというのは至極自然な流れであり、批判すべき点はない。

となれば、ジョンではなく別の人間が立ち上がって戦うという歴史になることにも不満はない。

そうなると、リージョンにとってはジョン・コナーなど知らない人間であり、既にプライマリーターゲットではなくなったジョンを抹殺する必要はなくなるので、設定をブチ壊しにして「別のT-800が来ていた」という事にしてジョンを無惨に死なせ、T2のファンの期待を裏切るような設定にせずとも本作に繋げる事は出来たはずだ。

97年に審判の日が来なかった世界で、スカイネットとは無関係のリージョンはジョン・コナーなどどうでも良いと考えて狙わないでも良い(しかし後程書く別の問題が発生する)し、審判の日=自己実現であったジョンが人生の目標を失いどこかの雷神のようにビールばかり飲んで太ってFORTNITEをやりながらボイチャでガキを煽るような腑抜け人間になっているでも良い。
或いは帝国を倒した後のルークのように何処かで隠居してて、最後にちょい役で出ても良かったはずだ。
(それならファーロングはダイエットもせずにすぐに撮影もできただろう)

ここで必要なのは、
『新たなスカイネット(リージョン)が現れた未来でジョンが重要人物にならない事』に対する理由付けだけだ。
「既に20年前に戦闘訓練をやめて腑抜け人間になった後で審判の日が来てもリーダーにはなれなかった。」
で済む話だ。


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次に、ターミネーターという世界の設定的におかしいという点に関して。

本作冒頭でジョンを射殺し後にカールと名乗る事になるT-800は、2029年の未来(T2にてT-1000やT-800が元々いた時代)から“T-1000やその他サラが破壊したターミネーターたちと同時に過去に転送された”と語っている。
(カールはT-1000と一緒に1995年に送られたのか、1998年にきたのかは不明)
2029┳1995(T2)
┣1998(カールがジョンを射殺)
:
┗200X(カールの手助けでサラが始末)
このように、95年の時点でスカイネットの誕生は阻止されたが、スカイネットが誕生するはずだった未来の2029年から過去に送った他のターミネーター達は、指定時刻に現れていた、という事だと解釈できる。
この点がそもそも非常に納得し辛い理屈であるが、それ以上に“おかしい”のは下記の点。

そもそもT1では、ジョンのおかげで“人類の勝ちが確定”した後、どうにもできなくなったスカイネットが過去を変える為にタイムマシンを使用する。
ここで重要なのは、T-800を過去に送った事が、すぐに抵抗軍に観測された為、抵抗軍もカイルを後追いで派遣したという事。

T2でもスカイネットがジョン抹殺の為にT-1000を過去に送った事が分かったから、後追いで抵抗軍がT-800を派遣した。

(本作の歴史には無関係だが)T3では、歴史が変わって6年ほど遅く来ることになった審判の日当日にジョンを核シェルターに入れる為にT-850が派遣され、それを阻止する為にスカイネットが後追いでT-Xを派遣。(T-Xは『対ターミネーター用のターミネーター』と言われているように、T-850を抹殺する為のモデル。ホームレスで所在の掴めないジョンの殺害ではなく、ジョンを守るT-850とついでに未来のジョンの右腕達の抹殺が目的)

このように、タイムマシンを使用するとスサまじい電力を一度に使用し、お互いのレーダーに観測されてしまうという欠点がある。

となると、スカイネットがT-1000以外に他にT-800も送っていたのなら、抵抗軍側はそれをしっかり感知して戦士も複数送って来ることになる。
誰にも気付かれずに他にもT-800を送っていた!という設定がそもそも不可能なのだ。

仮に地下深くだとか海底だとかに極秘で建設して、使用がバレないようにしたタイムマシンから派遣したというのなら、バレる方を囮にして旧型のT-800を送り、バレない方で最新最強のT-1000を送る方がミッションの確度が上がるから、スカイネットの頭脳ならそうするはず。
ということで、極秘タイムマシン説は成り立たない。

そもそも、2029年から2000年代のどこかにターミネーターを送っているとなると、T2の時点からたった2年後の1997年8月29日に審判の日が来ると分かっているスカイネットが審判の日の後に届くようにターミネーターを送り続けている事になる。
1995年のT-1000が失敗する可能性を考えたスカイネットが、それより後に旧式のT-800を複数送る判断をするのだろうか。
(一応T2の時点ではT-1000はあのプロトタイプ1体のみという設定もあるが・・・)

というわけで、抵抗軍に気付かれずにターミネーターをポンポンポンポン何体も送っていた!という点は、完全におかしいと言える。


しかし、スカイネットが生まれない世界を舞台にしたターミネーターシリーズ続編で、アーノルド・シュワルツェネッガーをT-800役で出演させるには、何かしらの無理矢理設定が必要になってしまうので致し方ない部分もある。
『T2の熔鉱炉で溶けきる前に何者かの手によってサルベージされていた!』みたいなのだったらクソ設定だし、そもそも無理難題なのだ。



T2では味方になるよう再プログラムされたT-800がジョンの命令で「人を殺すな」と言われ、(ヒザは撃つけど)殺人をしなくなりジョンとの交流で人間性を獲得していき、序盤では泣いているジョンに対して「目をどうかしたのか?」と質問していた(=泣く という行為が理解できない)のに、終盤では「人間がなぜ泣くのか分かった。俺には涙を流せないが。」と言う所が最高の号泣ポイント。
しかし、本作ではなぜ再プログラムされてもいないT-800がDVに苦しむ女を見ただけで突然人間性を獲得するのか。

また、スカイネットがジョン・コナーの抹殺に成功した場合のプログラムをしてないはずがない。
ジョン1人を抹殺すればスカイネットが勝利するなんてこともないので、例えばとにかく手当り次第に人類を抹殺する、などのサブミッションが組み込まれていると考える方が自然だ。
そもそも、あの時点のカールはダイソンが死んでサイバーダインが爆破された事を知っている訳で、そうなった場合、人類の敵である超高性能AIが次に考える行動は、「自分自身がスカイネットになる」または「スカイネットを開発する」ではないのか。
ダイソンはT1でサラを抹殺しに来たT-800の残骸から得たCPUを研究してスカイネットを誕生させる。
カールは世界で唯一そのCPUを『所持』しているレアな存在なのだから、そこからスカイネットを誕生させれば「脅威となるジョン・コナーが不在の世界でスカイネットを台頭させられる」という合理的結論に至るはず。
(とは言え、これも打ち切られたGenisysでT-3000となったジョン・コナーが2017年に来てやっていた事と被るが)


さらにさらに「そもそも」が続いてしまうが、タイムパラドックスを考えた時に本作には無視できない大きな問題がある。

『スカイネットが誕生しないなんて事はあり得ない』

という問題だ。
なぜなら、本作冒頭にジョン・コナーが登場しているからだ。
ジョン・コナーは未来から来たカイル・リースの息子であり、カイルが未来から来たのはスカイネットが開発したタイムマシンを使用したからであるので、スカイネットが誕生しないとジョンは産まれる事ができないのだ。
T2のラストでもジョンは存在しているが、T2では「スカイネットは100%誕生しない」とは明言されたわけではない。
(審判の日が来なかった未来で、ジョンが議員になっているというエンディングの『拡張特別編』なんてモノも一応あるけど正史ではないという事で。)

【ジョン・コナーが存在する = スカイネットが存在する】
というのは変えがたい事実であるはずなのだ。

「未来が分岐して、スカイネットが生まれない未来が誕生したんだよ」
と思うかも知れない。
『本来起こるはずの歴史をタイムトラベルで変更すると世界線が分岐する』
というのは様々な作品に用いられる設定だが、もしそうなのだとしたら、そもそもスカイネットが未来から過去にターミネーターを派遣してサラ・コナーを抹殺しようとした事も無意味になってしまう。
仮に抹殺できたとしても、ターミネーター派遣元の未来には何の影響を与えずに、スカイネットが勝つかも知れない新たな未来が別の何処かに分岐するだけだからだ。
つまり、『ターミネーターシリーズ』全ての根幹が無意味となってしまうのだ。

ドラゴンボールのセル編はこの設定だった。
未来から来たトランクスが過去を変えても、元の未来はそのままで「もうひとつの平和な未来があっても良い」と考えて自分の世界には無意味と知りつつタイムトラベルを行う。(修行して強くなる点においては意義はあるが)

しかし、スカイネットがそんな思考をするはずがないので、ターミネーターは世界線が分岐するのではなく、世界線が1つしかなく、バック・トゥ・ザ・フューチャーのように過去を変えるとリアルタイムで未来が上書きされる(マーティの存在が消えかけるなど)方式であるはず。
※基本的にはリアルタイムで未来が上書きされるBTTFの世界で、なぜか2のビフ老人がデロリアンに乗った所だけは未来が分岐しており、さらに分岐させた割にはビフ老人は分岐前の未来に戻って来たりなどの矛盾があるけど大好きな映画だからOK!!

T2の時点では、一応まだもしかしたらスカイネットが誕生する可能性を残した終わり方だった。
しかし、本作では「スカイネットは誕生しなかった!」と確定させてしまった。
そうなると、ジョン・コナーは確定した瞬間に、マーティ・マクフライの存在が消えかかった時のように消滅しないとおかしいのだ。


解り易くまとめると、
①:ピンチになったスカイネットは過去を変える事で自分が戦争に勝つ為にタイムマシンを作った。

②:①より、過去を変えると未来に影響すると示されているので、ターミネーターシリーズは世界線が1つしかないタイプのタイムトラベルモノであると断定できる。

③:スカイネットが作ったタイムマシンで過去に行ったカイルの息子がジョン

④:もしスカイネットが誕生しない事になると①も③も起こらないのでジョンは存在しなくなる。

⑤ジョンが存在する = スカイネットが誕生する

・・・という事。
これが本作の最も重大な矛盾である。

ちなみに、2002年発売の小説『新ターミネーター2』シリーズでは、ジョン・コナー自身が誤ってスカイネットを起動させてしまうという衝撃の展開がある。
切っても切り離せない関係の両者には持ってこいの設定だと思う。
(未来のジョンの顔の傷がアザラシに噛まれてできるというトンデモ展開はあるが)


もし未来を変える事ができたとしても、『時間軸の自己修復能力』のような力が働き、元々はリージョンという名前だったAIが作戦コード『スカイネット』などと言い出したり、リージョンが作るターミネーターが何故かシュワルツェネッガー顔をしていたり、ジワジワと元の未来に近づいてしまうという設定でこれらの矛盾は回避出来たのではないだろうか。



ここまで物凄く長々と書いて来た通り、T1とT2への愛が大きすぎるあまり、本作のT1とT2の設定を無理矢理ブチ壊している点をどうしても許容できず、評価を大幅に下げてしまう要因となってしまった。


しかし、その他の部分は割りと好意的だった。

【良い点】
●Rev-9が超絶カッコいい!
T-800の次に好きなデザイン!
これまでに出たT-1・T-X・T-600などはあまりそそられなかった。
GenisysのT-3000は割りと好き。
Rev-9は本当に良い!!
HotToysがフィギュア出したら即買い!!
(発表すらされないからフィギュア化しないのだろうか・・・)
2体分離もナイス!
ちゃんと骨格はスカスカに作ってあるし、初めて分離するシーンをよく見ると、液体金属側もちゃんと内側が空洞になってるのも嬉しい。

●リンダ・ハミルトン最高!!
やっぱりサラ・コナーはエミリア・クラークでもレナ・へディでもなくリンダ・ハミルトンしかいない!

●グレースも最高!
強化人間って設定も良いし、肉体の作り込みも全然良かった。非の打ち所なし!
しかもただ強いだけでなく、きちんと代償を伴う点も好き。

●なんだかんだ、やっぱりシュワルツェネッガーがいないとターミネーターじゃない!
本作は大コケして100億円以上の赤字が確定しているので続編はまたもや無くなるだろうけど、仮に作られたとしてもシュワルツェネッガーは出られない話の作りになってしまった。

●アクションシーンも全部良い!
グレースvsRev-9のハンマーやら車のドアやら鎖やらを使ったアグレッシブな戦いは本当に全部カッコいい。
T-800が毎回やる、何かに叩きつけたり投げたりする戦いも当然大好き。
ターミネーターはやはりこうでなくては!
カーアクションも飛行機やヘリの空中アクションも全部ターミネーターシリーズのツボをしっかり押さえてて良かった。

●Rev-9が飛行機から落下した先の家でドワイト・ヨアカムの『Guitars, Cadillacs』が流れているのが嬉しい。
T2でターミネーターが服とバイクを奪う酒場で流れている音楽。
(ちなみにT4ではジョンがモトターミネーターを誘き寄せる目的でGuns N' Rosesの『You Could Be Mine』を使用する小ネタがある)

●ダム上部からズザーっと降りてくるT-800(カール)が超カッコいい

●冒頭やラストで出るT-800からの目線が、ちゃんとT2と同じ古いコンピュータになっていて最高!
T4のT-800目線映像もパーティクルを多用していてかなりカッコ良かったが、同じ世界観で同じ型番の機体を考えると、やっぱりこうでなくては!




【先に書いた以外の他の悪い点】
●T2の正当な続編を謳っているのに、T-800のエンドスケルトンデザインがGenisys版。
コンセプトアーティストのVitaly Bulgarov氏のデザインは本当に超絶カッコ良くて大好きなのだが、続編と考えるとこれは大きなマイナスだ。

ちなみに、映画秘宝2019年12月号にて、某有名T-800研究家がT-800の解説をしているが、双葉社がしっかりと裏を取らずにそのまま載せているのか、完全な間違いを掲載してしまっている。
Genisysと本作ではT-800のデザインが異なっているという前提で話が進められており、「これがニュー・フェイト版!」と紹介されている画像がGenisys製作時にVitaly Bulgarov氏が作成したCGモデルである。
私は何年も前からこの画像をスマホの壁紙にしているのだから、ニュー・フェイト(ダーク・フェイト)版でないのは確実だ。
当然、Vitaly Bulgarov氏を検索すると、Genisysのアートワークとして同画像が出てくる。
さらに上腕のパーツに関して「Genisys版にはこのパーツはないが、強度的な問題で追加したのでは」などと記載されているが、このパーツは当然Genisys版にも付いている。
Genisys本編にも何度もしっかり映っているし、フィギュア等のグッズにも付いている。(私はGenisys版のHotToysフィギュアも所持している)
ここでGenisys版として載せてある画像は、これまでにターミネーターの映画シリーズには一度も登場した事のない機体である。
これは、『ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド』という本に載っているコンセプトアートの1つであり、本編に登場したものではない。
脇腹の油圧シリンダが2本ある(この点はTSCCのT-888に似ている)事などからも容易に違いがわかる。
「ターミネーター警察恐るべし」と書かれているが、完全に間違っているので全く恐るべしではない。
編集者はきちんと調べてから掲載してもらいたい。

●グレース達とサラが出会った直後の気を失ったグレースが見る未来の悪夢では、Rev-9の2世代前のRev-7との戦いが描かれている。
ここをよく見ると、明らかにRev-9よりもRev-7の方が強く見える。
乗り物に乗らずとも猛スピードで自由自在に空を飛びながら追跡してきて、液体金属で作った触手をスパイダーマンのDr.オクトパスのように何本も伸ばして中距離攻撃をして来たり。
Rev-9は収容所で複数の米兵相手にゼロ距離で串刺し攻撃をしていたが、Rev-7は数メートル離れた位置でも串刺しをしている。
Rev-9はヘリで逃げる一行を地上から見ていたが、Rev-7なら高速飛行で追跡して来るはず。

●カールがロボットである事を妻子が知らないというのは無理がありすぎるような。
「肉体関係はない」と言っていたが、食事もしないし排泄もしない事を不審に思わないのだろうか。

●ターミネーターの世界で『ダニー』と言えば、ラジコンで父親の命を救った『ダニー・ダイソン』だろ!

●既にダニーが割と大人なので未来のダニーと役者も変わらず見た目も髪型が変わっただけなので、全く強い戦士に見えない。カリスマ性を感じない。

●サラが軍人に知り合いがいると言って黒人の米兵が出て来たときに、「まさかダニー・ダイソンか!」と一瞬淡い期待を抱いたが、ただの新キャラだった。

●メキシコ-アメリカ間の国境の壁問題でトランプの人種差別批判をしているのに、EMPを受け取る時に黒人の米兵だけはやたら被弾してる所は笑ってしまった。

●Rev-9がタービンに巻き込まれて大ダメージを負うのは良いが、壊れる方逆じゃない?
どう考えても液体金属はノーダメージで骨格が壊れるでしょ普通。
液体金属が無敵になりすぎてしまう問題を解決する為に、スカイネットではなくリージョンの液体金属なのだからT-1000とは別物という事で設定を追加しても良かったのではないか。
◆ある一定の細かさにまで分離すると機能しなくなり、ただの金属のように固まってしまう。→細切れにすると倒せる
◆本体から一定時間以上離れると機能停止してしまう。→定期的に骨格と融合する必要がある。
・・・など、ジョジョのスタンド的な制約を付けてしまえば良かった。

または、T2でもT-1000が液体窒素で凍結→溶鉱の高熱で融解という極限環境下でバグを起こし、元の形状を保てずに触れた金属の質感を無条件にコピー&同化してしまうという設定があったので、これを活かす方法もあったはず。
バグを起こした液体金属が手当たり次第触れた物に同化して行き、Rev-9の骨格から削げ落ちながら追い掛けて来るなんてシーンがあったらあまりにもカッコ良くて泣いたかも知れない。

●メキシカンのダニーが最後にRev-9を倒すという事は・・・あのセリフが出るのでは・・・ッ!!
と期待したが、「Hasta la vista」言わないのかよ!

●ラスト、ダニーがグレースのパワーソースをRev-9に突き刺してからカールが穴に引きずり下ろすシーンを良く見てみると、カールは手首が欠損した左腕をRev-9の胸部の空洞に差し込んで引きずっていて、この時Rev-9はカールの左腕を掴んで引き抜こうとしている。
落ちる瞬間にカットが変わると、いつの間にかRev-9はカールの左腕ではなく左足を掴んでいる、というミスがある。
(左腕を掴んでいたが、滑って落ちそうになって慌てて足を掴み直す、というわけではなく、カットが変わった瞬間にはしっかり足を掴んでいる)

●結局、色んな要素が無かった事にされたT3・T4・Genisysで見たものばかりだったのが残念だった。
◆味方になるT-800がジョンを殺害 → T3のT-850が「(未来で)俺がジョンを抹殺した」と言っている
◆人間と機械のハイブリッド戦士が味方 → T4のマーカス
◆動力源をブッ刺して倒す → T3のT-Xの倒し方
◆金属骨格を液体金属でコーティング → T3のT-X
※でもRev-9のデザインは超カッコイイし、2体分離攻撃は良い
◆T1~T2で言われていたスカイネットではなく、別のAIが自我を持つ → Genisysでやった(T3でも似たようなプロット)
などなど。



「シリーズを通して見た事あるような場面」が多いのは、やはりそもそも『ターミネーター』という題材自体が、もうどうやっても話を広げる事が困難になってしまっているというのが最大の原因だろう。

続編を作っても結局は似たようなプロットになり、いくら考えてもT-1000を上回る悪役を出す事が不可能なので、必然的にT1・T2を越える事ができないのだ。
(やはりT2こそが至高ゥ!!)


アレコレ飛んで読みにくい長文になってしまったが、やはり何よりも大好きなシリーズなので、どうにか続編を作ってほしいと願っている。