あんがすざろっく

恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

4.5
様々なホテルのラウンジでピアノを弾きながら生活をする、フランクとジャックのベイカー兄弟。
客足は遠のき、仕事の依頼も減ってきた現状に不安を覚えた二人は、新たな試みとして女性シンガーを迎えてトリオを組むことに。オーディションを行うが、二人が求めるような才能ある女性はさっぱり現れない。やがて1時間以上も遅刻してオーディションにやってきたのは、エスコートサービスを仕事にしているスージーだった…


内容は知らずとも、ミシェルファイファーとブリッジス兄弟が身を寄せ合うジャケットは超有名。
こちらも長いことずっと見たかった作品です。


感想。
痺れた。超シビレた。
大人の恋愛だなぁ。

雰囲気がとにかくいい。
悪く言ってしまうと、BGM的な作品なんですけど、ライティングとかもしっかり世界観を作っていて、もう見ているだけで引き込まれちゃう。
見る前は主人公の三角関係とかなのかな、と思ってたんですけど、そんな話ではなかったんですね。
wikiで調べてみたんだけど、あんまり撮影秘話とか、色々な情報が少なくて残念。
いい作品なんだけどな。



それにしても、主役の3人。
フランク役のボー・ブリッジスは初めて見ました。
眉毛がインパクト強い😆
ピアニストとしてのプライドと、家族を養わなければならない責任の板挟みになりながらも、卒なく場を盛り立てるエンターテイナーに徹しようとする姿が大人。
本人もマンネリになっていると分かっていながらも、そこから抜け出せない切なさも表現しています。

そしてジャック役はジェフ・ブリッジス‼️
カッコイイ‼️渋くてカッコイイ‼️
あれが男の色気だ。
この色気はヤバいですよ。
そりゃ女もイチコロ。
時に物憂げに、時に笑みを浮かべながらピアノを弾く姿も様になってます。

スージー役にミシェル・ファイファー。
この方、なんでこんな蓮っ葉な役が似合うんでしょうね😆
いや勿論これは褒めてるんですよ、これも彼女の個性だし、スージーがどんどん魅力的に見えてくるのが本作の見所でもあるんですから。



ミシェルの歌声と、ブリッジス兄弟のピアニストぶりが素晴らしい。
ミシェルは本作のスージー役を獲得してから、歌の猛特訓をしたとか。
ピアノの上で歌い転げるやつ、ホットショットでパロディにされてましたが(笑)、あれも撮影は大変だったようですね。

ブリッジス兄弟はもう、本職のピアニストみたい‼️
というより、ジェフはミュージシャンとしての顔もあるというから、正にハマり役。
クレイジーハートでもカントリーシンガー演じてましたね。

チョイ役ながら、ジェニファー・ティリーもキャラの強い役で画面をかっさらいます。


そして、作品で流れるスコア。というよりナンバーの数々もイイ。
ジャズピアニストの物語ですから当然ですけど。
音楽を担当したのはデイヴ・グルーシン。
映画音楽でジャズって言ったら、この人しかいません。
ロマンティックにムーディーに、作品を盛り上げます。



仕事として、何十年もピアノに向き合ってきた二人の兄弟。
高級ホテルのバーでピアノを弾いても、生活は変わらず。
それはスージーも一緒で、夢のようなホテルの部屋に泊まれても、鏡を見れば現実に引き戻されてしまう。
夢を叶えようと踠き、今の暮らしとのギャップに打ちひしがれる。
同じ時間を男女でずっと共有していれば、恋に堕ちるのは必然。
少しほろ苦さの残るエンディングも、甘いだけではない大人のロマンスにはぴったり。

終盤、色々なしがらみから解放されて兄弟2人で楽しげにピアノデュエットするシーンがたまらなくいい。本当はこんな風にピアノを弾く時間も欲しかったんだろうね。
あんがすざろっく

あんがすざろっく