ノッチ

フランケンシュタインの花嫁のノッチのレビュー・感想・評価

4.0
前作で死んだと思われたフランケンシュタインの怪物は生きていた。

そんな彼のために、邪悪な博士・プレトリアスは彼の相棒を造ろうと試みる。

1931年に発表された、ユニヴァーサル制作の『フランケンシュタイン』は、当時世界的にヒットし、額が広く、接ぎはぎがあり、ボルトまで突き出た異様な頭部を持つ巨人、という怪物のイメージを人々に決定的に広めたと言われている。 

本作はそのホラー映画史上の伝説的作品の続編である。 

怪物の花嫁が実際に誕生するという点が、この作品の一番の特徴です。

個人的には『フランケンシュタイン』以上にこの続編の方が好み。

内容はモンスターに花嫁を作る話。 

物語は、作者であるシェリー夫人が「前作には続きがあるのよ」と語るところから始まります。 

「あれでお話は終わりではないんですのよ。続きが気になりますか?うふん❤」

異形の怪物として生まれたことの悲哀は、前作以上に色濃く描かれる。 

盲目の老人と怪物とのエピソードはベタながら秀逸。 

このシーンは、明らかに原作の盲目のド・ラセー老人との交流をモチーフにしています。

こちらの怪物の方は、片言で幼児並みの喋り方しか習得できない点は残念です。

ただ、原作では叶わなかった盲目の老人との暮らしが実現します。

思い出すのは、前作『フランケンシュタイン』での少女との交流の場面。

容姿に偏見を持たず、本質だけを見抜ける彼らとだけは心を通わせることができる可哀想な醜い怪物。

「トモダチ…トモダチ…」と呟きながら森をさ迷うシーンはマジ泣ける。

ラストも含めて、あまりにも不憫で観てられなかった。

コメディ、ブラックユーモア、マッドサイエンティスト、人間の業、孤独…それぞれに考え込むような深いテーマ性はないが、物語として実に豊かだ。

そしてそれに呼応するようにストーリーラインも複雑さと構造性を持っていて容易に先が読めず、「これからどうなるんだろう」という観客としての興味も最後まで尽きない。

映像は確かに古いですが、物語としては今観ても色あせるところがまったくありません。 

しかし、花嫁は可愛いけど怪物に対して失礼だ。

自分だってへんな動きなのに、あれはないと思う。 

ちなみに花嫁を演じたエルザ・ランチェスターは、冒頭プロローグで登場した原作者メアリー・シェリーも演じているが、全然気付かなかった。

この作品は、映画『フランケンシュタイン』の続編であるだけでなく、メアリー・シェリーの原作の続編にもなっています。

そういった点でも、名作と呼ぶに相応しい作品です。
ノッチ

ノッチ