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くちづけのmingoのレビュー・感想・評価

くちづけ(1955年製作の映画)
4.3
人生の最後に観たいとさえ思わせてくれた、巨匠たちがおくくりする傑作恋愛短編集。筧、鈴木英夫、成瀬のさり気ない演出が遺憾無く発揮されている。また、くらもちふさこや大島弓子、吉田秋生などの懐かしき少女漫画を思わせる作風に感極まること必至。第一話「くちづけ」(筧正典)での青山京子と太刀川洋一のラーメンの奢り奢られで結婚を意識する価値観も泣ける青春くささだし、笠智衆の毎度お馴染み俯瞰おじさん役に徹した役柄もほっこり。ラストカットの「凧揚げ」まで完璧。第二話「霧の中の少女」(鈴木英夫)では小泉博と司葉子の恋愛をメインに描きながら「まぁ~汗臭い!」と小泉を一蹴、中原ひとみの爆裂キュートさが炸裂。飯田蝶子、中原ひとみ、司葉子が笑いながら風呂に浸かるシーンは無敵至福絶頂ありがとう優勝。何よりのどかなロケ地で会津線の門田駅が訪れてみたい場所候補にあがった…藤原釜足と虹川清子の夫婦漫才もアクセントでお忘れなく。第三話「女同士」(成瀬巳喜男)ではデコちゃんが中村メイコの手帳を覗き見し旦那の上原謙に嫉妬することによってはじまりまさかの八千草薫で終わる、成瀬の日常の観察眼がひかる作品。「恋愛は風邪のようだからな、そのうち誰かにうつるさ。」と伊豆肇の何気ない会話の一言に真理が詰まっててわらった。小林桂樹のジャガイモたちの中に一つのリンゴを混ぜるプレゼントにくいし桂樹っぽさ全開で桂樹作品みまくってた2.3年前を思い出して泣けた、、
第一話で杉葉子が亡くなった旦那を想い続けててじぶんが死んだら誰か想ってくれる人はいるのだろうか、と死にたくなる映画でもあった。ラピュタの朝の日差しに救われるGW
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