くわまんG

男はつらいよのくわまんGのレビュー・感想・評価

男はつらいよ(1969年製作の映画)
4.0
あらすじ:それ(謝罪や感謝)を言っちゃあ(=口に出しちゃあ)おしめえ(=不粋)だから、男は黙って自己犠牲よ。

十年ぶりに帰郷したら、妹も弟分も近所の女の子も、みんな年頃になっていて…というお話。

身勝手で野蛮で感情垂れ流しの大迷惑年増なんだけど、自分の立場や性質をある程度理解しているから、最後の最後に身を引く美学で他人の幸せを優先しちゃう。そんな程好い自己犠牲が、日本人を惹きつけてやまない寅さん。

昭和人情の上澄みだけをすくい取ったドラマに癒やされる。ハイライトはやっぱり志村喬のスピーチ。少ない出演時間でこれだけ深く感情移入させるんだから、凄い演技力だと思う。泣いた。

後味は切ないのに、健気な後ろ姿で微笑を誘うもんだから、「次こそは」と叶うはずがない願いを胸に、また会いに行きたくなる。もう淋しくなってきた。