ほーりー

捜索者のほーりーのレビュー・感想・評価

捜索者(1956年製作の映画)
4.2
ドアではじまり、ドアで終わる映画。

南北戦争後のテキサス。コマンチ族の襲撃によって弟夫婦たちを殺され、幼い姪っ子を連れ去られた男(ジョン・ウェイン)と死んだ夫婦に育てられた混血児(ジェフリー・ハンター)が復讐のために、そして姪を救出するために旅に出る。

敵を討つためにそれこそ復讐の鬼と化したジョン・ウェイン(ヒーローばかり演じていたウェインにとって異色のキャラクター)。

その非情さは際立っていて、たとえば先住民の死体の両目を撃ち抜くシーンなんて思わず息を飲む。
先住民の言い伝えで、目を失うと死後の世界をさ迷うというのがあり、死んでも俺は許さんぞという強い意思ですネ。

数年にわたる捜索の旅で、ついに姪をさらったコマンチ族の足取りを掴んだ二人は、ついに事件の首謀者である頭領スカーと対決する!!

どの場面切り取っても、すべて“絵”になっている。

雲の形、空の色、風に浸食されて不思議な形をしている山や岩、そしてドア……そんな素敵な画材をフルに活用して描かれたのがこの名作「捜索者」。

個人的には「静かなる男」の方が好きだけど、巨匠ジョン・フォードの最高傑作とも言われるのも納得のクオリティ。

主役のウェイン、ハンターのほか、ナタリー・ウッド、ヴェラ・マイルズ、ウォード・ボンドが脇を支える。

牧師なんだけど警備隊長という不思議なキャラ演じるボンドは、「静かなる男」同様、聖職者らしくない発言をして可笑しい。

ラスト10分前になってもまだ決着がつかず、本当にこの映画終わるのかよと思いきや、一気に畳み掛ける演出もすごい。

そして、ラストの哀愁漂うような幕切れがまた心に残った。

■映画DATA==========================
監督:ジョン・フォード
脚本:フランク・S・ニュージェント
製作:メリアン・C・クーパー
音楽:マックス・スタイナー
撮影:ウィントン・C・ホック
公開:1956年3月13日(米)/1956年8月22日(日)
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