戦争で捕虜になり拷問され、人殺しにしか感情が向かない死人。共に売春宿に乗り込むトミー・リー・ジョーンズは明らかに「愛情」としてウィリアム・ディヴェインを見つめている。そのあたりが、ポール・シュレイダーの物語ではあるが「男と男」の映画を撮り続けたジョン・フリンらしい関係性。
ごちゃごちゃとした屁理屈や説教など映画に何一つ必要ない。家族を殺され、片手を潰されたなら皆殺しにするだけ。特別スカッとしないのがまた良い。残るのは汗と匂いと暴力の血。ヤッて(復讐して)やったぞみたいな、得意げな格好つけが一切ないというか、外側から見ればこの二人も社会から外れたキチガイで、死体の山にしか居場所はない。その「虚しさ」が表現で最も信頼できる。