★ 陽の光が眩しく感じるほどに
語り尽くしても世界は変わらない
今更ながらに本作を鑑賞しました。
なるほど。名作と謳われるのも納得の仕上がり。はち切れんばかりの青臭いエネルギーに満ち溢れた物語でした。
これが青春なんですよねえ。
バカ騒ぎして、ケンカして、語り合って。
終わってみれば、見えていなかったものが視えている…そんな繰り返し。
だから若い頃って面白いのです。
毎日“新しい何か”に出逢えますからね。
勿論、大人になっても出逢うことは出来ますが、それには“能動的な姿勢”が必要なのです。
また、若い頃は友情を育みやすい時期でもあります。社会人になると…ねえ。どうしても利害関係で結びつきますから打算と妥協の繰り返し。それはそれで楽なのですが、それだけでは寂しいのも事実。
だから、本作に揺さぶられるのでしょう。
土曜日の補習授業を映しているだけなのに。
ただただダベっているだけなのに。
自分を探していても明日を疑わない素直さに胸が締め付けられるのです。
そして、手を伸ばしたのはセピア色の思い出。
ファミレスで朝まで語り明かしたこと。夜の公園でバカ騒ぎしたこと。修学旅行先でゲームを買ったこと。うう…懐かしすぎて胸が痛いなあ。
まあ、そんなわけで。
若かりし頃の密度の濃い一日、あるいは無為に流れる日常の一コマを描いた作品。80年代の作品なのにキラキラと輝いているのは素直にスゴイと思いました。冒頭のSimple Mindsの楽曲『Don't You (Forget About Me)』からして最高ですからね。
最後に余談として。
本作を鑑賞しようと思い立ったのは『ピッチ・パーフェクト』で取り扱っていたから…なのですが、両者に共通する思想がアメリカの根底に流れていることを実感しました。
それは“誰一人として同じ人間はいない”ということ。同調圧力が強い日本では軽視されがちな価値観ですからね(未だに「空気を読め」という意見が一般的なことに絶望します)。とても羨ましい話です。