ねつき

ブレックファスト・クラブのねつきのレビュー・感想・評価

ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)
3.9
「大人になると心が死ぬの」

良かった。大人になると心が死ぬ。今私は彼らや自分が相手にしている中学生と比べたらまぎれもなく大人だ。自分では毎日生きているつもりだし、悩んだり悲しんだり成長したりもしているが、私が子供の頃に生きていた感情の中で、今の私の中では死んでいるものが、確実に、ある。それが何かは、思い出せない。
子供の頃は小さなことがものすごく重大に思えて、特に「学校の人間関係」なんてそれが私たちの世界の全てで、そこの歯車から外れないようにするために日々を生きていた。「他人からどう思われるか」という言葉がキーワードのように繰り返されていた気がするが、まさに「他人からどう思われるか」が私の人生の全てだった。そういうことがだんだんとどうでも良くなって、許せることが増えて、私自身は大人になって生きるのが少し楽になったと感じている。「他人からどう思われるか」っていう呪いって、中学生くらいから始まって、大人になれば終わる。期間限定の呪いだ。私が仕事で相手にしてるのは、まさにその呪いの真っ只中にいる中学生たち。だから疲れるんだよ。
でもこれ思春期だけの呪いではなくて、形を変えてやっぱり大人の根本にもこれがある気がするな。登場人物たちの親もそう。自分にとって大切なことを子供に押し付けている。思春期の呪い、大人ver.だ。子供たちは心が死んだ大人にはなりたくないと言っているが、今の時点でもう始まってるのではと思った。皮肉だ。

歳を取れば取るほど、人生に慣れていって楽したくなって、新しく出会った人も「あ〜このタイプね」って自分の中で分類してしまえば自分が楽だよね。でもちがくて、本当はその人はその人しかいない。ブレックファストクラブの5人は「ガリ勉、お嬢様、スポーツマン、ヤンキー、ふしぎちゃん」と分類されているが、その類に分類される5人が集まったら誰でもああなるわけじゃない。あの5人の出会いだったからこうなった、ということを私たちも忘れてはいけない。
タイプ分けは自分のためにするもの。しっかり相手のこと見なきゃ失礼。私も生徒のこと、ちゃんとその人として見る。何年経っても忘れちゃだめだ。


「なぜ優しくしてくれるの?」「あなたがそうさせるからよ」
ねつき

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