シズヲ

大草原の渡り鳥のシズヲのレビュー・感想・評価

大草原の渡り鳥(1960年製作の映画)
3.5
小林旭の渡り鳥シリーズ、どうやら5作目!!日活無国籍アクションということもあって西部劇要素の色濃いシリーズだけど、本作はその辺が殊更に際立っているので趣がある。“飛行場建設を目論む資本家に迫害されるアイヌ民族”という構図は殆ど開拓の被害を受けるインディアンの文脈で清々しい。解像度的にだいぶ胡散臭い描き方も含めて往年の被害者役インディアンっぽい。しかし市街地と部落の距離感は謎めいている。銃で武装している登場人物もやはり当たり前のように登場し、中でもエースのジョーはニヒルな振る舞いといい完全にガンマンのテンションだ。浅丘ルリ子や宍戸錠などの面々はもはやお約束的に毎度出演してるっぽくてフフってなる。

良くも悪くもハッタリで進行していくような映画ではあるものの、小林旭のキザで頼もしいキャラクターやライバル・宍戸錠との付かず離れずの関係性などはやっぱり良い。男同士の奇妙な縁も西部劇っぽくてニヤリとする。クールな兄ちゃんと無垢な子役の掛け合いもベタながら何だかんだ言って微笑ましい。大自然を背景にしたロケーションやそれらを捉えた撮影も中々に美しいし、ガンアクションや殴り合いなどの外連味あふれる描写なんかも憎めない。ヘンテコな世界観ではあるけどこの頃のB級娯楽作として卒なく纏まっているので、シリーズ最高傑作扱いされるのも何となく分かる。あとラストで「お兄ちゃん!!お兄ちゃーん!!」と叫ぶ信夫ちゃん、なんか「カムバーック!!」とか叫びそうな勢いでソワソワしてしまった。
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