まりぃくりすてぃ

座頭市物語のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

座頭市物語(1962年製作の映画)
5.0
世界中、日本中の、駄作映画を作り散らしちゃう不届き者たちは、これぐらいのお品物をまずは死に物狂いで創ってから好きなことをやろうね。

ムダ人物一人もいない。ムダ台詞一言もない。ムダ場面一瞬もない。必然性のない暴力一つもない。だから爽快。簡単なこと。
冒頭、小川の小橋を“超人的にスイスイとは”渡らず四つん這い。早速の本気・本物をそこで明確に示してもらった。
人物はほどよく漸増していくので、たとえ台詞をすべては聞き取れなくても筋を難なく私たちは追える。
再三のズームアウト技法になぜかドキッ。
おたね(万里昌代さん)が市に恋を告げるとこ、泣いた。
平手先生(天知茂さん)もちろん終始渋み良し。
脇役中の誰よりも、飯岡助五郎(柳永二郎さん)の力強い発声が最高の貢献。

(ずっと前にDVDで観た)牢屋内シーンで始まってお風呂が濡れ場になるバージョンを第一作だと私は長年勘違いしてて、このたび正真正銘のこっちを劇場で初鑑賞。無双ぶりが神すぎたあっちの作では薄目あけ気味でスーパー憑依の勝新さんだったんだが、目をオーソドックスにつぶりっぱなしの今作では最後に大魔神的にクワーッとやるとこが映画としてぎりアウトかぎりセーフかってとこだがこれはこれで市っつぁんらしくてよい。


関係ないが、カレーライスの食べ方を「そうやって混ぜるんじゃなくてよ、スプーンで飯をすくってその先にカレーをかぶせて口に運ぶんだよ」と正しくしつこく講釈して五社って人と大喧嘩になっちゃった事件の時の勝新に私は味方する。当たり前じゃん。