ひろぽん

スタンド・バイ・ミーのひろぽんのレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
3.9
1959年の夏、オレゴン州の田舎町。12歳の少年4人は、性格も個性も異なっていたが仲良しで、いつも一緒に遊んでいた。そんなある日、行方不明の少年の死体が線路上に放置されているとの噂を聞きつけた彼らは、死体探しの旅に出かける。途中で喧嘩をしながらも、少年たちは助け合いながら、鉄道の線路に沿って冒険のような旅を続けるひと夏の青春物語。


人口1281人という小さな田舎町に住む12歳の少年たちが妙な噂を聞き、「死体」探しの旅に出るというシンプルなストーリー。

将来有望で仲の良かった兄を亡くし、小説を書くことが得意なゴーディ。アル中の父を持ち、兄はグレて最悪の家庭環境で育ったみんなのまとめ役のガキ大将クリス。元軍人の父に耳を焼かれるも、父を尊敬している不良のテディ。ビビってスグに逃げ出してしまう臆病者のバーン。

それぞれ育った家庭環境も性格も個性も違う4人が、「死体」を探すという目的のために片道30キロの道を歩き冒険する。

線路の上を歩き、将来のことや自分の置かれている家庭環境のことを語り、時には喧嘩もしながら突き進んでいく姿には懐かしさを感じた。

みんなで集めたなけなしの小遣い、壮大なゲロ話、汽車に追われるシーン、股間に張りつくヒル、衝撃的な死体、年上の不良たちとの絡みetc.....

野宿しながら友人たちと過ごす数日に渡って繰り広げられる大冒険は、小学生にとってはとても忘がたいひと夏の思い出になる。

大人の階段を登り始める12歳の子どもたちが、旅の中でそれぞれの葛藤や苦しみと向き合いながら、お互いに励ましあって強い絆が生まれていくところが良かった。

特にゴーディとクリスがお互いを認め合っている姿が心にグッときた。有望な兄と比較され、小説を書く才能を父親に理解されなかったゴーディの才能を理解し素直に褒めるクリス。
“誰かが育てなければ才能も消えてしまう。君の親がやらないなら俺が守ってやる”
と友達にこんな事をストレートに言える12歳とは思えないクリスが本当にカッコよかった。喧嘩してもすぐに自分から和解を求める彼の誠実な態度も見習いたい。
劣悪な家庭環境で育ち、大人たちからこれまで家柄で判断されてきたクリスの人間性を信じるゴーディ。不良を抜け出し努力して進学クラスに入り、弁護士となるクリスの未来でもわかる2人の熱い友情がとても素敵。

子どもながらに、コイツは優秀だから将来何か大きなことを成し遂げそうとか、悪い方向にいって問題起こしそうだとか、何となく分かるんだよな。

エンディングで流れるBen E. Kingの『Stand By Me』は心に沁みる名曲。

この4人が疎遠になってしまった事とか、彼らの将来はとてもリアルに描かれていると思う。幼稚園、小・中・高とそれぞれで仲良かった友人と10〜20年近く経った今でも遊んだりするから、出会って遊んだ頃の記憶を思い出すと感慨深い気持ちになる。

アメリカのお話だが、日本でも何ら変わりなく共感できる普遍的な物語。哀愁漂う雰囲気は夏というアメリカの新学期が始まる前の時期だからなのだろうか。前回鑑賞した時よりも良いなと思った。歳を重ねる毎にこの作品の良さが分かるのかもしれない。



“I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve. Jesus”

“12歳だったあの時のような友だちは、
それからできなかった。もう二度と…”

この言葉が全てを物語っている!
ひろぽん

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