「男はつらいよ 浪速の恋の寅次郎」で、佐藤蛾次郎が風呂敷かぶって「エレファント・マン~」ってふざけていたけど、それだけ日本でも当時話題になったと思われる。
生まれつき醜悪な奇形で見世物小屋に立たされた青年(ジョン・ハート)が、ある外科医(アンソニー・ホプキンス)に見つけ出され、研究目的で病院に引き取られる…。
この映画、観ていてつらいよ。
やがて研究者たちは、エレファント・マンが醜い見た目とは裏腹に、知識もあり非常に美しい心を持った青年であることを知る。
病院長扮するジョン・ギールグッドが、「どんなに想像を働かせても、彼の気持ちは理解できまい」と言う通り、外科医、看護婦たち、彼の存在を知って面会する知識人たち、見世物小屋のオヤジはどこまで彼に心を開いていたのだろうか。
上部だけではなく心から異形の者を愛することができるのか大変難しい問題だと思う。
少なくともケンドール夫人は心から彼を愛していたと思いたい…。
公開当時はゲテモノ映画と酷評もされた映画だそうだが、ジョン・ハートはじめ、ホプキンス、ギールグッド、アン・バンクロフト(奇跡の人!)、ウェンディ・ヒラーと役者陣はかなり豪華。
デヴィッド・リンチは「難解」「暗い」「気持ち悪い」という印象が強く、確かに本作も暗い&気持ち悪いんだけど、人間ドラマとして一般の方でもわかりやすい作品です。
だから、「男はつらいよ」で真似されるほど、ポピュラーになったんだと思う。
でも序盤、本当に象が出てくるとは思わなんだ。