おだまき

パンズ・ラビリンスのおだまきのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
3.4
冷酷な軍人の義父と、義父との子を身ごもる母。辛い現実から逃れたいと願う少女は妖精に導かれ、迷宮の世界の試練に挑む。


昔、映画「ネバーエンディングストーリー」と同じ感じかなーと軽い気持ちで観て衝撃を受けた作品。がっつりダークファンタジーでした。グロ描写あり。ココアだと思ったら、エスプレッソコーヒーだった感じ。にがーい!!


現実で居場所のない人が空想の世界で希望を見出だすところは映画「ネバーエンディングストーリー」と通じる所もありましたが、いかんせん現実世界が辛すぎる。戦争パートはずっとしんどかったです。全体的な背景の色彩が淡色系なので、後半赤い血は目立つなーと思ったり。


迷宮世界も100%主人公の味方ではない気がしました。試練をクリアする度に使者パンが高慢な態度や強気な言葉遣いに変わっていったり。第二の試練で"妖精が誘うままに"と説明あるのに、妖精が指し示した鍵穴と正解の鍵穴違ったり。
パンの姿がバフォメット(キリスト教由来のヒツジの頭を持った悪魔)っぽく見えたため、迷宮世界に誘われる主人公が全然幸せになる気がしなくて現れる度ハラハラしていました。


「"外の世界"=生きている現実世界」で、「地下の迷宮世界=死後、生まれる前の世界」なのでは?と想像してみたり。
主人公が生まれる前の弟へ「あなたも外の世界にもうすぐ出るけど…」(台詞うろ覚え)と語りかける場面があったり、外の世界がつらく苦しいのは現実を指しているなら当たっているなと思ったので。冒頭台詞「光を浴びて王女は記憶を失う」のも光を浴びること=生まれることなのかなーと。
もしそうなら、最後主人公は描写されているとおり間違いなく迷宮世界にたどり着けたのでしょう。

2021-43
おだまき

おだまき