むっしゅたいやき

落葉のむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

落葉(1966年製作の映画)
3.8
グルジア、ワインの醸造に観る近代化。
オタール・イオセリアーニ。

グルジアの伝統的なワイン作りでは、“クヴェヴリ”と呼ばれる卵形の壺を地中へ埋め、自然発酵させる。
冒頭でその様子が映し出されるが、本作は従来のこの伝統を捨て、ソ連式で「質より量」と大量生産されるそれへのアイロニーを、未だ初々しさの残る青年の社会への抵抗に絡めた作品である。

イオセリアーニの作品は、素朴にして寡黙、そして何より詩情を醸す「間」と、そこ込められるが風刺が特色となる。
大抵は至ってシンプルな物語であるのだが、そこに隠された小さなトゲが微笑ましい。
辛辣さや毒々しさは見当たらず、笑顔と共に心にすっと入り込む感覚は、この監督特有のものであろう。

ラストは稍ご都合主義にも見えるが、それも含め寓話として楽しみたい作品である。
…よく晴れた昼、外でサングリアを飲みたいなぁ。
むっしゅたいやき

むっしゅたいやき