まりぃくりすてぃ

オーソン・ウェルズの オセロのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

3.0
“動く挿絵”つきの戯曲、を見せてるみたいな。台本ばかりがペチャクチャし、画が従順に便利に正攻法すぎに押し黙ってた。
古典文学へのやっぱ遠慮?
画からの滲み出る“独自の声”がしっかりめに聞き取れた箇所も(特に後半)あるにはあった。しかし、地味。「色を失い、代わりに枠を得た」だけのモノクロ世界って思った、しばしば。
冒頭とラストの十字架行進(台詞なし)はとりあえず真に映画だった。

イアーゴ役マイケル・マクラマーとキャシオ役マイケル・ローレンスのツーショットが、長髪めなので奇妙にrockテイストあって前半の華だった。いや、これは褒めすぎか。。
デズデモーナ役シュザンヌ・クルーティエは、「美しく、たおやかに」というト書きをただただ守る、叙情未満ぽい、単純映え要員だった。(以前の職場のお局さまにちょっと似てた。そのお淑やかな独身お局は東京にいるのに関西弁が全然抜けなくて、私とのわずか十数秒の業務会話に「ちゃう?」を三回ぐらい入れてくる美人さんだった。長年不倫してた。)

いかついオセロ役オーソン・ウェルズへの感想は、特にない。

そして私には、物語自体が不快。
せめて、謀略家イアーゴをもっと内面性存分に描けなかった? 生い立ちとか重層的動機とか葛藤とかさ。例えば漫画デスノートの主人公みたくみんながついつい応援しちゃえる悪ヒーローとして彼を、いっそ主役筆頭に据えれば、がらりと違ったリアル文芸映画になった。少しもったいない。白黒の塗り分け方(と引っくり返し方)が堅っ苦しい! 白黒映像美が乏しいわりに!
下女(イアーゴの妻)以外の誰にも感情移入しなかったよぅ。「そういう物語だ」と諦めさせないで。
脚色努力は認めるけど、もっと良くできたはず。。。



親御さまへ
学芸会のシェイクスピア劇づくりに率先して取り組むなど、自分の感性と意見をふだんから大切にして果敢に歩む人気者オーソン君の、さらなる飛躍の新学期にたいへん期待しています。(担任マリ山より)