香港の巨匠ウォン・カーウァイ監督作品
アルゼンチンを舞台に繰り広げられる男同士の切ない恋愛や人間模様を描いたラブストーリー
胸が張り裂けそうなくらい切ないけど紛れもない純愛
これは同性愛に限らず異性愛にも通ずる普遍的な人と人とのすれ違いで、嫉妬して喧嘩して傷つけ合いの繰り返しは、まるで倦怠婦映画を観ているかのような感覚だった
確かに愛し合っているはずなのに、うまく噛み合わない二人のやりとりが歯がゆいくらいに切なすぎる
むしろ愛し合いすぎているからこそ、互いに見えないものがあるのかもしれない…
しかしどんなに振り回されてもウィンの魅力に抗えないファイが、なぜか愛おしくてたまらなかった
ムーディーな音楽のチョイスとクリストファー・ドイルの撮影の相性は最高で、まるで絵画を切り取ったような美しいシーンの連続には思わずゾクゾクしてしまうほど
コントラストを強調したカラーとモノクロが交差する映像や、監督の特徴でもある鮮烈な赤の使い方もお見事で、雰囲気作りも非の打ち所がないほど素晴らしい
主要な登場人物はたったの3人ですが、まあそれが豪華なこと
レスリー・チャンとトニー・レオン、そしてチャン・チェンと、当時のアジアを代表するスターが勢ぞろいしているので、この3人を観られるだけでも相当な価値がある
なによりトニー・レオンの悲しい表情のうまさよ…
冒頭からかなり激しく愛し合うシーンがあるので面食らってしまう方もいるかもしれませんが、どうか最後まで観て欲しい
暫定ではありますが、個人的にはウォン・カーウァイ作品のトップかな
本作のドキュメンタリー『ブエノスアイレス 摂氏零度』も気になる
〈 Rotten Tomatoes 🍅80% 🍿91% 〉
〈 IMDb 7.8 / Metascore 69 / Letterboxd 4.1 〉
2021 自宅鑑賞 No.186