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誓いの休暇のTSのレビュー・感想・評価

誓いの休暇(1959年製作の映画)
3.8
【もう一目家族に会うために…】
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監督:グリゴーリ・チュフライ
製作国:ソ連
ジャンル:戦争
収録時間:88分
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ロシア(旧ソ連)の名作と誉れ高い今作。わずか80分足らずしかないですが、間接的に戦争の悲惨さを伝えている名作でした。戦争シーンは序盤しかありません。作中のほとんどは、主人公アリョーシャの帰郷の物語です。しかし、最後は圧巻。世界が絶賛した名シーンだそうな。

17歳の少年兵アリョーシャは、ナチスとの戦争に駆り出され最前線で臆病ながらも活躍していた。彼は気弱であったが、たまたま放った砲弾が命中し、戦車を二台破壊し英雄となるのだが。。

戦争シーンはこのあらすじ部分だけです。その後は、英雄とされた彼の願いを叶える旅を描きます。その願いとは、数日でも良いから帰郷し愛する家族のもとに戻ること。しかし、その道中で様々な人を助けてしまうが故にどんどん時間が削られていきます。果たして彼は無事家族のもとに辿り着けるのか?

正直なところ、道中に関しては普通。しかし、最後で感動が一気に溢れ出します。そもそも本当に家族に会いたかったのなら、道中の人なんてほっていけば良かったのにそれをしないのが少年兵アリョーシャの良心でもありました。いわゆる自己犠牲型です。しかし、この自己犠牲がなければラストの感動は薄れてしまったでしょう。わずか数分間、かなりの名シーンと言えそうです。

こんな若い男たちが望みのない戦いに駆り出される。本人も家族も得るものはなく、失うものしかありません。こんなことが今後あってはならない。間違いなく反戦映画と言えるでしょう。戦争による直接的な残酷シーンを描かずに、家族との絆により戦争の悲惨さを伝える作品です。
ところで、戦争が悲惨で憎いものというのには異論の余地はなさそうですが、そのアプローチにはさまざまな方法があると感じました。まだまだ見ていない戦争映画はありますが、既に見た戦争映画はそのどれもがそれぞれのアプローチをとっており、心に響きます。

最後に一気に感動がきますが、道中があまり共感できなかったため塩梅でこのスコア。しかしながらクラシック名作と思えます。気になる方は是非。
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