2011年8月に出版された「死ぬまでに観たい映画1001本(改訂新版)」の「アバター」の項目の最後はこう締め括られていた。
"映画の歴史を塗り替えた、大作、興行記録更新と絶賛される「アバター」も、いつまでも愛され続けるだろうが、いつかは古くささを感じさせるようになるだろう。"
それまで誰もが見たこと無い映像世界だった「アバター」。
ジェームズ・キャメロン監督が映画の世界に革新を起こしたろと、徹底的に3D技術を研究し、如何に効果的に観客の眼に映るのか計算し尽くしたであろう画期的作品だった。
公開からちょうど今年で10年経つ。Filmarks等のレビューを見ると上述の一文が現実味をおびてきたような気がする。
ほとんどの方が指摘しているがストーリー的には何も目新しさはない。
大体、先住民と入植者側でそれぞれ言い分があって、その間にいる主人公が葛藤するからドラマとして面白いのであって、誰がどう見ても悪人のスティーヴン・ラングや小悪党のジョヴァンニ・リビシじゃ観客が人間側に同情するのは無理である。
この作品が作られていたのがちょうどイラク戦争の真っ只中というのも本作の軍人像に影響を与えていると思う。
だけど、キャラクターの性格や行動も紋切り型にしたことで、これがかえって余計な情報がないから観客が映像の世界にどっぷりと浸れたのに功を奏したのではないかと思う。
理屈抜きに楽しみましょうや、この圧倒的な映像空間を。
■映画 DATA==========================
監督:ジェームズ・キャメロン
脚本:ジェームズ・キャメロン
製作:ジェームズ・キャメロン/ジョン・ランドー
音楽:ジェームズ・ホーナー
撮影:マウロ・フィオーレ
公開:2009年12月18日(米)/2009年12月23日(日)