ろ

トータル・リコールのろのレビュー・感想・評価

トータル・リコール(1990年製作の映画)
5.0

「人の価値を決めるのは、記憶ではなく行動だ」

赤く乾いた土地・火星ではゲリラ隊による襲撃が日夜続いていた。
その様子をテレビ越しに見守る土木作業員ダグは、火星への想いを募らせていく。
そんな中、通勤電車でふと目に留まった‘記憶旅行’の広告。ダグはさっそくリコール社を訪ねるが・・・。

「あなた自身から休暇を取ってみるってのはどうです?我が社が最近始めた変身コース、全くの別人になって旅行ができるんですよ」
憧れの火星旅行。
秘密諜報部員になって冒険が楽しめるなんて面白そうだ。
期待に胸を膨らませるダグに旅行の記憶が植えつけられる矢先、ある事件が起こる・・・

「あなたの人生はすべて作り物なのよ」
「おれがおれじゃないなら、本当は誰なんだ?」
帰宅すると、同僚が刺客として待ち構えている。
妻だと思っていた女性は、実は監視役として自分を見張っていた。
ダグは消された記憶を取り戻すべく火星へと向かう。

あの会社には何か裏がありそうだ。
反乱分子のリーダーは一体誰なんだ?
火星を仕切る採掘会社と、それに対立する市民組織。
両者の鍵を握るのはダグが掴んだある事実。
はたして、火星に隠された秘密とは?

そもそもダグが今見ているこの世界は現実なのだろうか?それともリコール社が提供した旅の記憶をただ辿っているだけ・・・?
観客を惑わす刺客たちが魅力的で、その心理戦に私まで汗をかいてしまいました。



( ..)φ

昨年末から今年にかけて、フィリップ・K・ディックの長編と短編を1冊ずつ読んでみました。
もっと堅苦しいのかと思っていたら、めちゃくちゃウィットに富んでいるし、平和な日常が少しずつ歪んでいくのが本当に面白い!
しかも、そのどれもが映画みたいなんですよね。
お父さんの様子がヘンだと思ったらエイリアンだったっていう「スタンド・バイ・ミー」×「ボディ・スナッチャー」みたいな話があったり、12歳未満の子どもは親に見捨てられると殺処分されてしまう胎外中絶の話があったり。
バカバカしく滑稽な中に潜む、辛辣なメッセージにクラクラしてしまいます。
たくさん映画化されているようなので、少しずつ観ていきたいなぁ。
ろ