ペコちゃん

ダンサー・イン・ザ・ダークのペコちゃんのレビュー・感想・評価

4.5
映画「ナラタージュ」に出てくる葉山の妻が好きな映画。行定監督のレクチャーによりナラタージュをさらに愉しむために観てみた。

号泣。観おわったあと外出して緑道を歩きながら思い出す。セルマが音を求めて刑務所の換気扇に耳を寄せる姿。なんとも言えない氣持ちが湧き上がり涙がこぼれてきた。

なんという理不尽な物語なのだろうか…。酷い酷すぎる展開だった。

母親が子ども思う氣持ちは、頑なであった。貯めたお金を使ってセルマの命を救う事も出来たが彼女は、それを選択しなかった。赤ちゃんをこの腕に抱いてみたかったという自らの欲望により息子のジーンにも同じ病を背負わせてしまった罪惡感がずっと彼女の中にあったんだと思う。それが最後の選択に繋がるんだろ。母親の愛は深い。ジーンは、きっとそれを受け取ることだろう。

絞首台に立ち穏やかな歌声と共に彼女はこの世を去る。悲しいことだけれどもこれで終わりではない。というメッセージが残された事が唯一の希望だった。

ドキュメンタリー風に感じるカメラワークがとても印象に残った映画だった。