ふき

007/カジノ・ロワイヤルのふきのレビュー・感想・評価

007/カジノ・ロワイヤル(1967年製作の映画)
2.5
当時ショーン・コネリー氏で展開していたボンド映画に対抗すべく作られた(?)、原作『カジノロワイヤル』の皮をかぶったスパイアクションパロディ作品。

全編で展開される不条理なギャグは面白いし、要所要所で出てくる過度な抽象的表現も興味深いのだが、如何せん、軸となるお話の進行状況を忘れさせるくらいの長さと、そこで争われている理由を忘れさせるくらいの説明不足が積み重なってきて、自分が何を見ているか分からなくなってくる。なので個々のギャグがどれだけ面白くても、全体としては段々「どうでもいいわw」となってしまう。
特に話が動き出すまでの冒頭が酷い。大物になった各国のスパイたちとMが引退したボンド卿を引っ張り出すまではいいのだが、その後のマクタリー城でのいざこざからカーチェイスまでの流れは三〇分近くもあって長すぎるし、「ボンド映画のパロディ」としても全然上手くない。なによりこの部分は、Wikipediaのストーリー紹介でも一切触れられていないほど、全体としては無意味なのだ。ここを全部カットして、一〇〇分強の映画になっていれば、まだ好意的な視聴後感になっていたと思う。

「すべての諜報員にジェームズ・ボンドを名乗らせる」というアイディアやドクター・ノオのパロディのドクター・ノアも、面白いのだがお話として面白がらせる方向には活かされておらず、映画全体が悪ふざけをやりきって終わってしまったのが残念。
デヴィッド・ニーヴン氏やオーソン・ウェルズ氏といった超有名俳優や、オリジナルのボンドシリーズで演じた役者を連れてきたのに、この完成度は非常に勿体無いと感じた。
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