リーアム兄さん

パルプ・フィクションのリーアム兄さんのレビュー・感想・評価

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)
4.5
ヌーベルバーグ作品だけでなくB級作品からも引用するシュンペーターが提唱するイノベーションを肌で感じることができる作品。シナリオに関係ないセリフ、中身は意味をなさないマクガフィンであるアタッシュケースなど、商業ムービーでは上映時間の観点からカットされてしまう内容を好きな映画の引用と雑談でマッシュアップし突き通す。時間軸を壊す手法も、後にフォロフィング、メメントを監督することになるクリストファーノーランに影響を与えている。ファッキンマザーファッカー親父サミュエルジャクソンをスターダムに押し上げたオタク同士の友情にも泣ける。大人は分かってくれない、誰も認めてくれない、偉大な映画監督スピルバーグがディクレシアや両親の離婚で苦しんでいたように、問題を抱えた子供に勇気を与えてくれる、無駄なことでも続けることで価値を生み出せることを教えてくれる作品。MeToo運動で度重なるセクハラで排除されたハーヴェイワインシュタインがゴーサイン出さなかったら生まれなかった。人としては最低だけど映画を見抜く才能はやっぱりあったんだろうね。