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蜘蛛巣城のefnのレビュー・感想・評価

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)
3.7
 蜘蛛手の森の不気味な雰囲気がいい。望遠でかなり圧縮しているはずなのに巨木がショットを圧迫している。そこで亡霊が薙刀を振るう光景の神々しいこと。よく言われている摺足とそれに合わせた緩慢な動作、マクベスの時代劇への読み替えも概ねうまくいっている。ダイナミックな西洋悲劇を身近な舞台装置で楽しむことができる、というのはなんと幸福なことではないか。
 ただ、撮影がそれに追いついていない。城内では特にそれが顕著でせっかく身体が型にハマっているのにカメラがクローズすることが多々ある。悪い出来事が起こるとトラックアウト、三船の前進移動に合わせてトラックインするのも味気ない。制約からクローズを多用するならわかるが、他の芸術様式を取り入れながら映画の作法を貫いているのは失敗だろう。
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